毎朝食べる方も多いであろう「食パン」
何も考えずに食べますよね?
パンだから食べられるのは当たり前なのにどうしてわざわざ「食パン」と「食」の字がついているのでしょうか?
他にも食パンにだけある「斤」という数え方や「耳」といい謎ついても解説しましょう!
Table of Contents
食パンの「食」の意味は?
あんパン、食パン、カレーパン♪
どのパンももちろん食べることができます。
(好き嫌いはあるにしても……。)
なのにどうして「食パン」だけが「食」という文字がついているのか?
それにはいくつかの説があります。
「主食用のパン」からの説
あとでもお伝えしますが明治時代よりも以前に「パン」自体は日本でも作られていました。
しかしまだ一般的には広まっていはいませんでした。
というのも当時はパン作りに必須なイースト菌などの酵母もなく、お酒の麹菌などを使っており味もあまり美味しくなかったようです。
「食パン」の元祖は文明開化の頃にイギリス人ロバート・クラーク氏が開いた『ヨコハマベーカリー』といお店のイギリス風型焼きパンです。
ちなみに現在も「ウチキパン」として横浜で営業されています。
そんな中、1874年に木村屋総本店が銀座に開業し「あんぱん」が発売されると大人気となりました。
また1901年には中村屋が「クリームパン」を開発するとこちらも人気商品に。
日本では食パンよりも先に菓子パンが広まったのです。
しかし
1890年におこった大凶作がきっかけで変わっていきます。
主食の米の代わりに、山型のイギリスパンに味噌や砂糖醤油などを塗り、串に刺して焼いた「つけ焼きパン」が広まっていきます。
おやつだったパンが主食としても普及していくようになったのです。
そして甘い「菓子パン」と区別するために付けられた「主食用のパン」から略されて「食パン」となったとする説です。
ちなみにその後、食パンの上部がふわっと山型のイギリスパンではなく、四角の食パンが主流になっていきます。
それは焼くときに四角のパンの方が低い熱量で焼くことができ大量生産に向いていたためだからです。
そして四角い食パンは学校給食にも導入され全国に普及していきます。
以外かもしれませんが日本でのパンの歴史はけっこう古くて戦国時代にさかのぼります。
鉄砲とともに伝えられたとされているのです。
そしてその6年後にはあの有名なフランシスコ・ザビエルらによって日本でもパン作りが始まりますが、後にキリスト教が禁じられるようになってからは長崎などで細々と西洋人のために作られていただけになりました。
それが江戸時代後期に鎖国が解かれる事によって横浜・神戸などでもパン作りが広がるようになったのです。
消しゴムパンとの区別説
明治時代の日本ではまだ質の高い消しゴムがありませんでした。
そんな中、木炭デッサンをする時の消しゴムの代わりに使用されていたのが「食パン」でした。
食パンは油も少ないので消しゴムとして使っても油染みすることもなく、また消しゴムよりもやわらかいので紙を傷つけないという利点があるからです。
その当時はまだ「食パン」という名前はなく、ただ『パン』として売られていました。
木炭デッサン用のパンは時間が経って味の落ちたものが売られていたために値段も安価でした。
食べる用のパンはもちろん味もおいしいので高価に。
デッサンの消しゴム用の「パン」
食べるための「パン」
これらが並べて販売されていたので、そんな事情を知らずに安価な方を買って食べる人が増えてしまいました。
そこで値段だけでなく「パン」の呼び方を変更することになったのです。
デッサン用の消しゴムパンを「消しパン」
食べるためのおいしいパンが『食パン』
となったという説です。
「消しパン」なんて聞いたこともない方がほとんどだと思いますが、当時のデッサン方法を学ぶために現代でも美術界では実践されることもあります。
使い方としては「食パン」の白い部分をちぎって丸め、今で言うところの「練り消し」のように使用したようです。
本食(ほんしょく)パン説
鎖国が終り日本国内に西洋文化が取り入られる中でイギリス風の山型食パンが登場します。
その頃、食パン」は『本食パン』と呼ばれていました。
第二次世界大戦前のパン職人は西洋料理のもと(本)となるパンという意味で「本食パン」と呼んでいたのです。
それが省略され「食パン」となったとする説です。
現在でも「本食パン」として販売しているところもあります。
酵母説
食パンを作るときにはイースト菌という酵母が発酵することで生地が膨らみふっくらと焼き上がります。
膨らんだときにすき間(穴)ができるのですが、それらの穴は酵母が食べて出来た「穴」だということで『食パン』という名前がついたとする説です。
…ん~この説は少しムリがある気もする…。
フライパンとの区別説
「パンはパンでも食べられるパンはな~んだ?」ってなぞなぞがありますが、その答えが食パンの名前の由来となっているとする説です。
英語圏で「パン(Pan)」と言えばフライパンなどの手鍋のようなものをいいます。
日本では「パン」と言いますが英語では「ブレッド(Bread)」
「パンケーキ」って聞くと「パンみたいなケーキ」の事と思っておられる方もおられるかもしれませんが、「パンケーキ」のパンとはフライパンで作る製法から由来する名前です。
キッチンでの会話で「鍋」を意味するパンと「食パン」を意味するパンを使い分けるために『食パン』というようになったとする説です。
…ん~~、こちらも微妙な感じです。
これが理由なのなら食べる事ができるパンは全て「食パン」になりますからね~。
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食パンの斤という数え方
食パンを数える時って通常は「枚」ですよね?
朝食時の会話などで
「何枚焼く?」
「2枚食べる!」
など普段は「枚」として数えます。
パン屋さんやスーパーなどで売られている食パンも「○枚切り」というスライスされた状態で売られていることが多いです。
しかし、切られる前の大きな「食パン」は1斤って数えますよね。
そして、またここで疑問が…。
「”1斤”ってどの位の大きさ?」
「”斤”って何?」
ここでは「斤」についての疑問を解決していきましょう。
食パンの数え方の”斤”とは?
「斤」というのは尺貫法(日本で古くから使われていた長さ・面積・重さなどを表す単位)の中の重さの単位のことでもともとは中国が起源になります。
1斤=600g
ちなみに
6.25斤=1貫=100両=1000匁(もんめ)=3.75㎏
になります。
■小判100両の重さは食パンでいうと
1斤が600gなら、だいたい4枚切り食パンで6斤と1枚で小判100両の重さということになりますね。
でも実際はそうでもありません。
つまり、パン屋やスーパーで売られている食パン一袋は600gかと言えばそうでもないのです。
食パン1斤が重さの単位から食パンの数え方の単位に
食パンが明治以降にイギリスやアメリカから輸入されるようになった頃の1袋の重さは約450gでした。
日本での1斤(600g)とはかなりの差があります。
これらに当時の人たちは混同してしまい、輸入食パン(約450g)も1斤と数えてしまい、それが今になって重さの単位としてではなく食パンを数える単位として定着しました。
なので「食パン1斤」の中でも色々な重さのものが売られるようになり、それぞれのパン屋で独自の1斤の大きさが決められるようになったと言われています。
食パン一斤の大きさ現在では?
現在パン業界では実質340gからおよそ500gほどの間で、大きさは12.5㎝四方のものが「1斤」としての基準とされています。
「包装食パン1個の重量が340g以上のもの」が「1斤」となっているので
510g以上の食パンは「1.5斤」、170g以上の食パンは「半斤」「0.5斤」「1/2斤」と表示されます。
他にも255g以上の食パンは「3/4斤」、306g以上は「9/10斤」「0.9斤」とかなり細かく決められているのです。
また「包装食パンの表示に関する公正競争規約」ではパンの包装に
「一斤」
「一斤は340g以上です」
など斤表示をするように義務づけられています。
しかもそれはごく最近の2012年のことです。
ぜひ次回食パンを買うときには袋をチェックしてみて下さい。
食パン「○枚切り」と「斤」の関係
パン屋やスーパで販売されている食パンは「4枚切り」や「5枚切り」「6枚切り」とスライスされた状態で売られています、
これらは食パン1斤をそれぞれ4等分・5等分・6等分にカットしているのです。
そしてその際の1斤は12.5㎝四方とパン業界で統一されています。
またスライスする厚みも4枚切りは28mm、5枚切りは23mm、6枚切りは19mmと統一されているのです。
切られていない食パンの数え方は?
焼きたてのまだカットされていない長い食パン
大きさで言えば3斤ほどあるくらいの大きさです。
このカットされていない食パンは「1本」と数えられます。
ただし、この「1本」という数え方には定義がありません。
パン屋によっては1本が1斤の大きさだったり、3斤くらいの大きさだったりするのです。
というのも焼き型自体がパン屋さんによっても異なるために1本のサイズが違ってくるからです。
英語での食パン1斤は?
英語では食パン1斤のことを「ひとかたまり」という意味の単語「loaf」を使って表されます。
1斤の食パン=”a loaf of bread”
2斤の場合は複数形になり
“two loaves of bread”
と言います。
また、スライスした食パン「1枚」のことは
“a slice of bread” といいます。
そしてひとかけらの食パン「1個」を
“a piece of bread“と呼びます。
パン屋の1ダースは13個?
普通1ダースといえば12個です。
しかしパン屋さんでの1ダースは13個なのです。
ん?どうして?
昔、パンが主食のイギリスではパン1つあたりの重さが法律で決められていました。
というのも分量をごまかしたりする不正を防止するためです。
販売しているパンの重さが決められた重量に足りていないとパン屋は罰せられたのです。
そこでパン屋さんは重さが下回ることを恐れて自主的に1個パンを増やすことでその罰から逃れようとしたのです。
そこから13個作る風習が定着して、パン屋の1ダースは13個というようになったのです。
食パンの耳の意味
食パンの耳の正式名称
食パンの”耳”に正式名称があったのを知っていますか?
なんと『外皮)』『外相(がいそう)』というのが正式名称なのです。
「このパンの外皮やわらかいね!!」
「食パンの外相はあまり好きじゃないなぁ」
………。
……「パン」っていうポップな名前に対して「外皮・外相」という名称は固すぎるでしょう…。
やはり「パンの耳」って聞いた方がイメージもわきやすく親しみやすいとは思います。
食パンの耳の意味は人間の顔が由来?
「人間の顔の端」は耳になります。
スライスした食パンをお皿の上から見たとき、食パンの端にあたる部分も耳の部分となります。
日本人は昔からモノを体の部分に比喩的に言います。
食パンに限らずモノの端っこの部分を「耳」といって表すことが多いのです。
布や紙なども端っこの部分も「耳」として表現されることがあります。
また「耳」以外にも机や椅子の”脚”と言ったり、台風の”目”、車のヘッドライトを”目”と言ったりもします。
このように「人間の耳」に例えたことが由来となっています。
食パンの耳は日本独自の言い方
食パンの耳の事を海外で「ear of the bread」みたいに言っても通じません。
これは日本独自の言い方なんです。
英語では食パンの耳を
「crust (クラスト)」
と言います。
また
「heel of bread」(パンのかかと)
と言った表現もあります。
こちらは「かかと」つまりカサカサしている部分なのでフランスパンなどの端などの意味に使われたりもします。
「食パンの「食」の意味は?斤という数え方や耳の由来も解説!」まとめ
食パンの「食」の意味や「斤」について、また「耳」の由来など食パンの不思議について解説しました。
今後『食パン』を食べる時にぜひこれらの事を思い出して食べて見て下さい!
少し味が変わる!?
…なんてことはないとは思いますが(笑)
食パンがより身近になったのではないでしょうか?(笑)
食パンを食べる方の参考になれば幸いです。
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