灯りをつけましょぼんぼりに~。
3月3日のひな祭り。
最近はお内裏様とお雛様だけの親王飾りのものを飾る家庭も多いかもしれませんが、五段飾り、あるいは七段飾りをするなら、登場する『五人囃子』。
今回はそんな『五人囃子』についていろいろ調べてみたのでどうぞ最後までみてください。
Table of Contents
ひな祭りの五人囃子の飾り方
ひな人形を飾る際、五段飾り以上になると登場するのが『五人囃子』です。
五段飾り以上の三段目に飾ります。
ひな人形での五人囃子とは?
まず「囃子(はやし)」というのは能楽や歌舞伎などにおいて拍子をとって雰囲気を高めるために添えられる音楽の事です。
五人囃子ということで五人で構成されています。
五人囃子の飾り方の順番
ひな人形を真正面から見て、右から「謡(うたい)」「笛(ふえ)」「小包(こづつみ)」「大鼓(おおづつみ)」「太鼓(たいこ)」
という順番で飾ります。
・謡(うたい)
能における声楽を担当します。今でいうボーカルですね。
しかも今で言う「バックコーラス」まで担当しています。
右手に扇を持っており、座ったままの姿勢でいます。
・笛(ふえ)
楽器の中において唯一のメロディ楽器となっています。
竹製の横向きの笛になっています。
ひな人形の姿勢は座っており、両手を前にだしています。
飾り方は左右の手に笛を通してあげるとよいでしょう。
・小鼓(こつづみ)
ひな人形は立った姿勢でいます。左手で「調緒(しらべお)」という麻紐で締め上げた楽器です。
左手で調緒を持って、小鼓を右肩にかついで、右手で打って音を出します。
飾り方は、右の手の平を上に向けている人形の左手に小鼓を持たせ、左手にひもを掛けます。
・大鼓(おおつづみ)
これは小鼓がそのまま大きくなったものです。
ひな人形は座った姿勢でおられます。右手の平が横向きの座った人形の左手に持たせます。
持たせる時は紐を左手にかけて左膝に大鼓を置くようにします。
・太鼓(たいこ)
見た目は一番大きな楽器になります。
ひな人形は座った姿勢でおられます。左右の手にバチを持たせて、ひな人形の前に太鼓を置きます。
向かって右からこのような順番で飾ります。
毎年「並べ方はどうだったかな?」と悩んだ時は、「右から順番に音が大きくなっていく」と覚えるといいでしょう。
ひな人形の五人囃子の持ち物は
五人囃子の持ち物はつまり『楽器』になります。
一番右に飾る『謳い(うたい)』担当のひな人形だけが楽器の代わりに「扇」を持っていますが、それにも実は意味があります。
五人の持ち物を順番に見ていきましょう。
・謡い
右手に持っている「扇」。扇の所作も芸の内とされるようで、謡う時には扇を構え、休みの時には下ろします。
・笛
竹製の笛になります。唯一のメロディ楽器ということですが、主には打楽器的なリズムを刻む奏法をしています。
笛の中には細い竹が1本はめ込まれてあり、「ヒシギ」と呼ばれる管の最高音域の鋭い緊張した音を出すことができます。
・小鼓
桜の胴に馬の革を表裏二枚置き、「調緒(しらべお)」という麻の紐を締め上げたもので、この「緒」を締めたり緩めたりすることで音色を調節しながら、革を手やバチで打って演奏します。
五人囃子のひな人形では手で小鼓を打つような形で作られていますね。
音色は柔らかな音の大小、高い音の大小を強弱で打ち分けます。
これらの音は「チ」高くて小さな音、「タ」高くて大きな音、「プ」柔らかくて小さな音、「ポ」柔らかくて大きな音、という擬音化した言葉で表されます。
演奏中はつねに適度な湿気を必要とします。なので革に息をかけたり、裏革に張ってある紙をつばで濡らしたりして調節をします。
・大鼓
小鼓がひとまわり大きくなったものです。作りも小鼓と同じですが、小鼓の「調緒」は比較的緩めに締められているのに対し、大鼓の「調緒」は極限まで締め上げられています。
左手で持って調緒を握って左ひざの上に乗せた状態で、右手で表革をほぼ水平に打ちこんで音を出します。
突き抜けるような甲高い打音が特徴です。
音色の種類は右手の打ち方で変えます。右腕を大きく上げて強く打つ「チョン」の音、弱く打つ「ツ」の音の二種類のみになります。しかし打ち込まれてくる要所によって、豊かな表情をみせてくれます。
小鼓と大きく違う点は大鼓の革は湿気が少しでも残っていたら澄み切った甲音が鳴りません。なんと演奏前には火鉢の炭火の熱で二時間近く、ゆっくり時間をかけてあぶります。
調緒を通している状態のまま専用の台に掛けてあぶるのです。しかも革自体もこのような過酷な扱いを繰り返すことになるので十数回の使用で寿命になるそうです。
湿気を好んだり、百年以上使い続けて本領が発揮されると言われる小鼓とは真逆になりますね。
・太鼓
締太鼓(しめだいこ)のことを指します。作りは基本的に鼓とかわりません。
革は牛革でできており、表革中央の小さい円形部分のバチの当たる部分には補強用に鹿革を張ることが多いです。
演能においては神や鬼などの超人的なものが登場する時や舞楽を盛り立てる時に必要な打楽器です。
ひな人形の五人囃子の意味
ひな人形はそもそもお内裏様とお雛様の結婚式を表しています。
ということは結婚式というめでたい宴の席を音楽で盛り上げる事が五人囃子の役割なのですね。
五人囃子は子供たち?
五人囃子は元服前の少年たちなのです。元服とは現在でいう成人式ですが、当時は12歳から16歳に行われてました。
ひな人形を良く見てみると、五人囃子の顔はどこか幼く、髪型もお殿様とは違い髪の毛も結ばずに、「おかっぱ頭」のような少年の髪型になっています。
元服の儀式をする前は、髪の毛を結ばなかったのです。
そして頭の上には三角形のものが前面についている侍烏帽子(さむらいえぼし)と言われる帽子をかぶっています。
日頃の練習の成果を発表する場でもあり、結婚式を盛り上げ喜んでもらうのが目的になるだろうと思われるので気合いも入っていたのでしょうね。
ひな人形の五人囃子の飾り方や持ち物、そしてその意味についてのまとめ
五人囃子は元服前の五人の子供たちで構成された楽団でした。
向かって右から、「謡」「笛」「小鼓」「大鼓」「太鼓」と各自の楽器を持たせて飾ります。
並べ方の覚え方は、「右から順番に音が大きくなる」でしたね。
お内裏様とお雛様の結婚式で宴を盛り上げる為に演奏していたのです。
そういった事をふまえながら、飾られているひな人形を見ていくと色々なストーリーが見えてきたりしてイメージが膨らんでいきますね。
ぜひ一度ゆっくり眺めてください。五人囃子の笛太鼓がなんとなく聞こえてくるかもしれませんよ。ww
関連記事