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ひな祭り

ひな人形の飾り方、右大臣と左大臣は?持ち物や随身についても紹介

投稿日:2018年11月14日 更新日:

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3月3日は「桃の節句」ひな祭りの日ですね。
女の子のいる家庭では「ひな人形」を飾る風習があります。

最近ではお内裏様とお雛様だけをお飾りする「親王飾り」などもたくさん増えてきましたが、「五段飾り」や「七段飾り」になると飾る人形の数も多くて、「どうやって飾るんだったっけ?」「どう並べるんだっけ?」と悩むこともあると思います。
今日は「五段飾り」や「七段飾り」の時に登場してくる「右大臣や左大臣」にスポットをあてて飾り方や持ち物など、色々とご紹介させていただきます。

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ひな人形の飾り方、右大臣と左大臣編

ひな人形の中におられる右大臣と左大臣。
ひな祭りの歌「うれしいひなまつり」の歌詞の中にも「♩~赤いお顔の右大臣~♪」として登場してきます。

一体どこに飾るのかというと、「五段飾り」「七段飾り」の上から4段目になります。

彼ら右大臣と左大臣には正式名称があります。

「随身(ずいじん)」と呼ばれています。

随身の飾り方

随身は正面から見て向かって右側が通称左大臣と呼ばれる「おじいさん顔」の人形。通常は黒い服を着ている場合が多いです。

そして、左側が通称右大臣と言われる「イケメンの若者」の人形を飾ります。こちらは赤い服を着ている場合が多いです。

冠(帽子のようなもの)をかぶせて、左手に弓、右手には矢を持たせますが、このとき矢の羽根が下になるように持たせます。
背中に背負わせる矢は向かって右の肩(人形の左肩)の方に羽根の先っぽが見えるように飾ります。

左大臣なのに右?右大臣なのに左?

それぞれの大臣は天皇とされる男雛から見た呼び名になっています。
なので向かって右が左大臣になり、左が右大臣になります。

左大臣と右大臣はどちらが位が高い?

当時は左側が上位とされていたので、天皇から見た左側になる左大臣の方が位が高くなります。
ひな人形の左大臣と右大臣は、おじいさん顔とイケメンの若者のペアになっています。
年配者の人形が左大臣で、若いイケメンの人形が右大臣になります。
ただ、昭和以降に左上位から右上位に変わったことにより、一般的には内裏雛をお雛様の右に、つまり向かって左に飾るようになりました。
京雛では今でも左上位として男雛を左に飾ります。

右大臣と左大臣の間には菱餅と掛盤膳を置きます

・菱台(ひしだい)

菱餅を飾り付けるための台です。

・掛盤膳

お膳の高級品の型で、江戸時代の後期ではひな人形も豪華になっていき、大名家では掛盤膳の中に本物の料理が入っていたらしいです。

 

ひな人形の右大臣たちの持ち物は?

ひな人形では右大臣、左大臣と呼ばれる「随身」ですが、持ち物としていくつかの装飾された「剣、弓、矢」といった武器を持っています。

・儀仗の剣
「儀仗」というのは儀礼のために用いられる武器や武具のことです。
なので刀身にも刃はつけなかったようです。

・儀仗の弓
公家の武官の束帯、分かりやすく言うと当時の軍人のフォーマルウェアを着た状態でこの弓を持つので、こちらも武器としてではなく装飾の施されている美しい弓になっています。
また公家の中でも最高幹部とされる職位にあたる「公卿」が持つ「儀仗の弓」は色や巻が違います。人形の左手に持たせます。

・矢羽
こちらも弓と同様に装飾性が高く作られるもので、位によって色や柄が違っていました。
材料としては鷲や鷹などの大きい鳥の尾羽が使われていたようです。
人形の右手に持たせますが、持たせる時には矢の羽根の部分が下にくるように持たせましょう。
背中に背負わせる矢羽は人形の左肩から(向かって右側)から矢の羽根の部分が見えるように背負わせます。

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随身の持ち物、服装では

・巻纓冠(けんえいかん)

随身がかぶっている帽子のような物は「冠」なんですね。
男雛(お内裏様)の冠の後ろから上に向かってまっすぐ立っているのを「纓(えい)」と呼ぶんですが、このまっすぐ伸びている纓は天皇のみがつけることができる「立纓(たちえい)と言います。
随身のは巻いてあるものになるので「巻纓(まきえい)」と言います。巻纓冠は天皇を守る任務の際にかぶられていました。

・緌(おいかけ)
随身が耳にあててる耳飾りのようなもの。馬の毛でつくられています。
こちらは武官のフォーマルウェアだけではなく、下級にあたる随身の褐衣(かちえ)装束(つまり上着、今で言うアウターですね)にも見られた装飾です。

・闕腋袍(けってきのほう)
随身の二人が着ている緋色(赤色)と黒色の上着は「袍(ほう)」といいます。
闕腋袍(けってきのほう)と縫腋袍(ほうえきのほう)の二種類があります。
二人が着ているのは『闕腋袍』です。
役人が朝廷に出仕する際に着られていた服です。

闕腋袍は袖の下の脇の部分から下側が縫われていなくて、前面(お腹側)の布と背面(背中側)の布が分かれている袍です。
裾(すそ)が縫い合わさっていなので縫腋袍よりも足が動きやすくなっています。乗馬等の便宜がはかられてる形状なのですね。
縫腋袍は脇の下が縫われていて裾(すそ)の周りに襴(らん)という裂を横向きにめぐらしたもので男雛(お内裏様)は縫腋袍を着ています。

随身と右大臣、左大臣の違いについて

ひな人形の「右大臣」と「左大臣」と呼ばれている人物は別名「随身」「随臣」(ずいじん)と呼ばれています。
正式にはどちらなのでしょうか?

随身とはなに?

「随身」というのは、貴族の外出時に警護のためお供した近衛府に仕えていた役人になります。
分かりやすく言うと天皇皇后の外出時にお守りするSPのような方達です。

そうなってくると「随身=右大臣、左大臣」というのはおかしくなります。
というのは、右大臣や左大臣というのはもっと位が高い存在なので、そんな高い階級にいる右大臣、左大臣が、警護の任務をする随身を兼任することはないと思えます。

ひな人形における「右大臣」や「左大臣」という名称はあくまでも、俗称と思ったほうがよさそうです。

服装で見てみると?

先ほどは右大臣や左大臣ではなく警護の任務をする「随身」としました。
しかし、「随身」と呼ばれる、ひな人形の右大臣と左大臣が着ている服を見てみると、それぞれ「緋袍(あけごろも)」と「黒袍(くろほう)」になります。

当時、宮中では色によって身分の差が分かるようにしていました。
「随身」の立場でこの「緋袍」や「黒袍」を着用するということはあり得ないのです。

ちなみにこの「緋袍」と「黒袍」の位の差は「緋袍は五位以上」「黒袍は四位以上」となります。
左大臣のほうが位が高いのですね。

つまり、「右大臣、左大臣」も公卿という公家の中でも最高幹部になる位なので、緋袍を着用することはないのです。
もし近衛大将を兼任したとしても、この武官の束帯を着ることはないのです。

随身でも右大臣、左大臣でもない?

服装から見ると、随身でも右大臣でも左大臣でもないことになってしましました。
ではいったい誰なのでしょうか。

二人が着ている『闕腋袍(けってきのほう)』は中将や少将だけではなく、衛府管や下級の武官たちも着用する上着です。

ひな人形での二人の任務は天皇皇后のそばでの護衛なので、近衛府に属する人であると予測できます。

そして、天皇である男雛から見ると左にあたる黒の服をきた通称左大臣が『左近衛中将』、右側にいる通称右大臣が『右近衛少将』にあたるのではないかと思われます。

ひな人形の飾り方、右大臣、左大臣と随身の違いのまとめ

ひな人形の随身と呼ばれる右大臣や左大臣の飾り方について見ていくと、いろんな事がわかってきました。
右大臣や左大臣はあくまでも通称で、一般的には随身と呼ばれていたんですね。

しかし細かく服装などを歴史の比べてみると随身にも矛盾が見られ、結局は随身でも右大臣、左大臣でもない……となってしまいましたww

あくまでもひな人形を作るにあたっての装飾的な要素があって、随身が着ている服装になったのかもしれませんね。

ひな人形は男雛と女雛の結婚式の場面なのでそれをふまえて、人形たちをみてみると色々なストーリーが想像できて楽しめると思います。
また、それぞれの人形の服装からもいろんなことが見えてくるので、そういった見方をしてみるのもよいのではないでしょうか?

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