奈良県吉野郡吉野町、桜で有名な吉野山の中でもシンボル的存在の金峯山寺。
吉野山は紀伊山地の北端にあたり、大峰を経て熊野三山へ続く修験道の修行の道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」の起点でもあります。
2004年には高野山、熊野とともに「霊場の参詣道」として世界遺産に登録されました。
金峯山寺も世界文化遺産として登録されています。
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吉野山 金峯山寺の蔵王堂について
吉野山のシンボルとされている金峯山寺は金峯山修験本宗の総本山です。
世界文化遺産としても登録されています。
金峯山寺の黒門
下千本駐車場から徒歩約10分弱、吉野ロープウェイ『吉野山駅』から約2分くらい歩いていると目の前に古い門がみえてきます。
これは『黒門』と呼ばれ「金峯山寺の総門」になります。言い換えれば吉野一山の総門になるのです。
城郭によく用いられる「高麗門」という様式の門になります。
昔は公家大名でもこの門からは槍を伏せて、馬を下りて通行したのです。
「金峯山」というのは吉野山から大峯山に至る峰続きを指します。
そこには修験道関連の寺院塔頭が軒を連ねていました。
その総門がこの『黒門』なのです。
現在の黒門は1985年(昭和60年)秋に金峯山寺本堂蔵王堂の大屋根大修理にあわせて改築されたものになります。
金峯山寺 銅鳥居(かねのとりい
『黒門』をくぐったあと、お土産物屋やお食事処、旅館などが並ぶ参道を180mほど歩くと階段の上に鳥居が見えてきます。
『銅鳥居(かねのとりい)』と読みます。聖地への入り口となっており、俗界と聖地の境界を象徴する建造物で重要文化財になっています。
鳥居の柱が「蓮台」の上に立っているのは神仏習合の名残りです。
また、現在の銅鳥居は室町時代の再興ですが、かつてのものは東大寺大仏を鋳造した時の余りの銅で造られたとも伝えられています。
そんなことから東大寺大仏の強力なパワーも宿るとされており、パワースポットの一つです。
金峯山寺の仁王門(国宝)
『銅鳥居』をくぐったあと、すぐに金峯山寺の仁王門が先に見えてきます。
国宝に指定されている吉野山 金峯山寺の仁王門は南北朝時代に建立されたと伝わる物で金峯山寺の中でも最も古い建物になります。
険しい山岳地に建つ楼門としても日本を代表するような巨大木造建築物で、その高さは20.3mにも及びます。
※「楼門」とは二階建てで上部に屋根をもつ社寺の入り口にある門です。
この楼門は一階と二階の境目にも屋根が有る本瓦葺きの二重門になっています。※現在は大修理の為にみることが出来ません。
金峯山寺 国宝仁王門大修理
僕が訪れた時は「国宝仁王門大修理」が行われており、全体像を観ることができませんでした。
金峯山寺では70年ぶりの仁王門及び仁王像の大修理が行われています。
2018年(平成30年)の秋頃に着手され2028年頃に完成予定です。
大修理寄進のお願いもされていました。
仁王門に安置された仁王像
仁王門の左右には高さ5.1mの金剛力士像が安置されています。
南北朝時代の1339年(延元3年)に南都大仏師、康成によって作られました。桧材寄木造りで日本で二番目の大きさになり、重要文化財にも指定されています。
仁王門をくぐるといよいよ蔵王堂が見えてきます。
金峯山寺の本堂『蔵王堂』
この大きな建物が金峯山寺の本堂『蔵王堂』です。
見ての通りの大きな建築物は重層入母屋造(いりもやづくり)になります。
※檜皮葺き(ひわだぶき)の大きな屋根は高さ34m、四方36mにもなり、木造古建築では東大寺大仏殿に次ぐ日本最大級の大きさになります。
※檜皮葺(ひわだぶき)とは日本国外には類を見ない、「檜(ひのき)の樹皮を用いて施工する」日本古来の屋根葺手法の一つです。
本尊として三体の蔵王権現立像(秘仏)を安置しています。
仁王門が北を正面とするのに対して、蔵王堂は南を正面とします。
これは熊野から吉野(南から北)へ向かう巡礼者と、吉野から熊野(北から南)へ向かう巡礼者、の両者に配慮して互いに背を向けて建っているのだそうです。
金峯山寺本堂『蔵王堂』の歴史
今から約1300年以上前の「白鳳年間」に”役行者(えんのぎょうじゃ)”が創建したと伝えられています。
また奈良時代には行基菩薩によって改修されたとも伝えられています。
平安時代から何度かの焼失と再建が繰り返され、1592年(天正20年)頃に現在の建物が完成しました。
最近では大正時代に解体修理が行われ、昭和の時代にも屋根の桧皮の葺き替えの大修理が行われました。
山上と山下の『蔵王堂』
吉野山から南に約20数㎞離れた天川村の山上ヶ岳の山頂近くには『大峯山寺(おおみねさんじ)』という似た名前の寺院があります。
『金峯山寺』と『大峯山寺』、今では別の寺院になっていますが、近世までは金峯山寺が「山下の蔵王堂」、大峯山寺は「山上の蔵王堂」と呼ばれ、分けることのできないものでした。
『金峯山寺』自体が本来「山上山下」二つの蔵王堂とそれに関連した子院などを含めた総称だったのです。
四本桜
本堂『蔵王堂』前の広場に石の柵で囲まれた場所があり、そこには4本の桜が植えられています。
1333年(元弘3年)に大塔宮(おおとうのみや)とも呼ばれた、後醍醐天皇の皇子である護良親王(もりよししんのう)が北条軍に攻められ落城前に最後の酒宴を開いたゆかりのある地とされています。
この石柵の中に立つ銅燈籠は1471年(文明3年)に作られたもので重要文化財に指定されています。
金峯山寺の鐘楼
こちらは鐘楼になります。釣り鐘が吊るされている建物です。
鐘楼の横には「階段」と「スロープ」がありました。
階段以外にもスロープで来ることもできるようです。
威徳天満宮
金峯山寺の境内にあるこの神社は『天満神社』とも呼ばれています。
菅原道真を祭神としており、平安時代の959年(天徳3年)に鎮座したとされています。
天満宮の手前には手水舎もありました。
久富大明神
金峯山寺 蔵王堂の向かって左の手前にある久富大明神です。
吉富稲荷大明神
久富大明神の隣には吉富稲荷大明神が鎮座します。
後醍醐天皇導きの稲荷
北朝との対立が激しくなり、やむをえずひそかに京都の花山院を出た後醍醐天皇は1233年(延元元年)12月28日に吉野山の仮の宮にお着きになりました。
その際に途中夜道に迷われるのですが、その時ある稲荷社の前で
「むば玉の暗き闇路に迷うなり、我にかさなむ三つのともし火」
と詠まれると、ひとむらの紅い雲が現れ、吉野への臨幸の道を照らしてお導きをし、その後金の御岳(吉野山)の上で消えたそうです。
その稲荷を勧請したのがこの「導きの稲荷」です。
人々に心の迷いがあるときにこの神にお祈りするとおのずから道が開けるという言い伝えがあるそうです。
毎年12月8日に御例祭が行われているそうです。
吉野山の金峯山寺はパワースポット
吉野山には中千本エリアにある『吉水神社』上千本エリアにある『吉野水分神社』そして下千本エリアの『金峯山寺』と他にもパワースポットとされる場所が点在しています。
吉水神社についてはコチラから。
◆吉水神社は世界遺産|吉野山のパワースポットから見る一目千本
普段から『金峯山寺』はパワースポットとして人気がありますが、秘仏がご開帳されるとパワーはさらに強くなるのではないでしょうか。
蔵王堂の金剛蔵王大権現のご開帳
日本最大秘仏本尊の金剛蔵王大権現3体が毎年一定期間に特別ご開帳されます。
普段は蔵王堂内陣の奥深くに安置されている秘仏のご本尊を目の前に見ることが出来るのです。
金剛蔵王大権現は約7mもの巨大な像です。足を振り上げて体を青く燃やし、気炎を吐き、金色の眼を光らせ魔を威嚇しています。
その迫力に圧倒されつつも、力強いパワーを感じるのではないでしょうか。
吉野山の桜はすべて御神木
全国的にも桜が有名な吉野山ですが、吉野山の桜の木はすべてが御神木とされています。
役行者が桜の木に本尊の蔵王権現を刻んだことから「桜」こそ「御神木」としてふさわしいとされます。それと同時に蔵王権現を本尊とする金峯山寺への参詣もさかんになって御神木の献木として桜が植え続けられました。
吉野山にある3万本といわれる「桜」は花見のためではなく信仰の桜として現在まで大切に保護されてきたのです。
たくさんの御神木に囲まれた吉野山自体が『パワースポット』と言ってもいいのかもしれません。
金峯山寺 愛染堂は縁結びのご利益
吉野山 金峯山寺の本堂『蔵王堂』境内にある『愛染堂』です。
愛染明王は愛を成就させてくれるという霊験があります。
手には煩悩を打ち砕く弓矢が握られていて、意中の男性のハートを射抜くと女性の信仰を集めているそうです。
言わば恋愛のパワースポットなのかもしれません。
愛染堂大祭
例祭は毎月27日で縁結びの御守も受付ておられます。
そして毎年11月27日には愛染堂大祭が行われており、参拝は自由で祈願受付は午前中からになっています。
護摩法要は午後1時から愛染明王御宝前において採燈護摩供が修法されます。
特別祈祷5000円、ゴマ木300円
祈願を希望される方は蔵王堂または宗務丁までご連絡を。
吉野山の金峯山寺へのアクセスの仕方
<吉野までの電車でのアクセス>
近鉄吉野線で【吉野駅】に着くと徒歩約2~3分で「吉野ロープウェイ乗り場」に着きます。
吉野ロープウェイの【千本口駅】からロープウェイに乗って【吉野山駅】まで行きます。
料金は片道 大人450円 子供230円になっています。
往復で大人800円 子供400円と少し割安になります。
営業時間は始発が8時20分で最終が17寺40分になっています。
観桜期は朝7時40分から18時40分までの営業になっていますが曜日によって変わることもあります。
ロープウェイに乗車すると3分ほどで『吉野山駅』に到着します。あっという間に着きます。
吉野ロープウェイの側にある「七曲坂」からロープウェイを使わずに歩いていくこともできます。
約15分から20分ほどで【吉野山駅】に到着するでしょう。
<吉野までの車でのアクセス>
[大阪市内から]
◆阪神高速14号松原線~【松原JCT】~阪和道~【美原JCT】~南阪奈道路~【葛城IC】~大和高田バイパス~【小房】~国道169号~【吉野】
◆阪神高速14号松原線~【松原JCT】~西名阪自動車道~【柏原IC】~国道165号~【橿原】~国道169号~【吉野】
[京都方面から]国道24号~【城陽IC】~京奈和自動車道~【木津IC】~奈良バイパス(国道24号)~【郡山】~橿原バイパス~【橿原】~国道169号~【吉野】
[名古屋方面から]
名古屋高速5号万場線~【名古屋西JCT】~東名阪自動車道~【亀山IC】~名阪国道~【針IC】~国道369号~国道370号~国道169号~【吉野】
【春に奈良県に来られる際に参考記事】
「吉野山 金峯山寺の蔵王堂|奈良のパワースポットへのアクセスの仕方」のまとめ
吉野山 金峯山寺の蔵王堂について紹介しました。
世界文化遺産として登録されており、パワースポットとしても人気の金峯山寺蔵王堂。
金峯山寺の蔵王堂の境内には恋愛成就にご利益のある『愛染堂』もあり女性に人気があります。
吉野山には他にもたくさんのパワースポットがありますが、桜が御神木の吉野山は吉野山自体が大きなパワースポットと言ってもいいのかもしれません。
春に訪れると全国的にも有名な桜の景色を満喫でき、秋には紅葉を楽しむこともできます。
吉野山でのパワースポットめぐりの参考になれば幸いです。
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