この数年『猛暑』から『酷暑』へとまるで暑さのレベルが一段階上がったかのような夏が続きます。
家族に赤ちゃんや高齢者がおられる場合は熱中症も心配になってきます。
特に別々に暮らす一人暮らしの高齢者の家族がおられる場合はさらに心配も増えるでしょう。
熱中症は屋外だけではなく室内にいてもなると言います。
特に高齢者の一人暮らしでは注意が必要になってきます。
高齢者の熱中症の原因と対策、そして予防するグッズなどを紹介していきましょう。
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高齢者の一人暮らしの熱中症の原因について
熱中症は屋外でスポーツをしている子供たちや、それを同じく屋外で観戦している人たち、あるいは屋外で働く方達がよく発症するイメージがあるかもしれません。
しかし熱中症は屋外だけではなく、室内にいてもなる可能性があります。
というよりも、実は自宅などの室内で発症する人の割合が一番多いのです。
高齢者の一人暮らしの方の場合、1日のほとんどを室内で過ごすことが多いと思われます。
その分、熱中症への注意がより必要になってきます。
高齢者における熱中症の危険性
◆高齢者の熱中症死亡率
熱中症による死亡事故における高齢者の熱中症死亡率は80%を超えます。
厚生労働省の「人口動態統計」によると熱中症による死亡者の中で65歳以上の高齢者の割合は2000年が5割程度だったのに対して2016年には8割と増加しています。
35度以上の猛暑日の日数が増加傾向にあるのも関係しているのかもしれません。
このように高齢者の場合熱中症になると命に関わる可能性もあるのでより注意が必要です。
◆高齢者は体の水分がそもそも少ない
人の体内にある体液は、主に体温調節や栄養素の運搬など生きていくために必要な働きがあります。
赤ちゃんの場合は70~80%、成人の場合の体液は体重の約60%あるのに対して、高齢者では体重の55~50%にまで減少します。
高齢者はもともともっている水分が少ないのです。
さらに普段の生活でも汗・尿・呼気などで毎日約1500~2500mlの体液が失われます。
なので普段より多く汗をかくだけでも脱水状態の原因になります。
※体液:水が主成分のカリウムやナトリウムなどを含む液体。
水分を保持する力・身体を動かす力として必要不可欠な成分を含んでいる
高齢者は熱中症になりやすい?身体的な要因
・汗をかきにくい
・加齢によって喉の渇きを感じにくい
・加齢による摂食嚥下障害(口から食べたり飲んだりすることに障害があること)、運動機能低下によって頻繁に水分補給ができない
・暑さを感じにくい
高齢者の一人暮らしで熱中症になりやすい危険なこと
「室内における熱中症発症が多い」ということからも、一人で暮らす高齢者の方たちへの注意がより必要なことは分かります。
1日のほとんどを室内で過ごす高齢者の方にとってどのような危険があるのかを見てみましょう。
・温度管理
高齢者の一人暮らし~脱水症状になりやすい原因~
高齢者は体内の水分量が減少していることもあって脱水症状になりやすいのです。
しかも体が脱水状態を感じにくくなっているので水分補給も遅れやすくなります。
・食事の減少
食事そのものが減ることによって、食事によって摂ることができていた水分補給も減ってしまいます。
・トイレが気になって水分摂取を控えやすい
就寝中にも体の水分は失われていくので、寝る前の水分補給は大切なのです。
しかし、高齢者の中には夜間にトイレに起きないようにと水分補給を控えてしまう方もおられます。
高齢者の一人暮らし~知っておきたい高齢者の危険な習慣~
今と違い昔は「エアコンは贅沢品」「電気代が高い」というイメージがありました。
なので高齢者の中には「電気代がもったいない」「暑くてもガマン」と思ってしまう方がおられます。
あるいは、「エアコンの風が苦手」という方やそもそも暑さを感じにくくなっているためにエアコンを使わないという方が多いのも特徴です。
②防犯のために窓を開けない
エアコンの風が苦手で使わない方がおられますが、その場合は室内の窓を開けて風を入れたりすることにより少しは暑さが軽減されます。
しかし、高齢者の中には防犯のために窓を開けたがらない方が多いのです。
ではどのようにして対策していいけばいいのでしょうか?
高齢者の熱中症対策は?
熱中症対策で必要なことは「脱水症状」と「温度環境」の改善です。
それぞれどのような対策をしていけばいいのかを紹介します。
高齢者の「脱水症状」への対策
◆1日の水分摂取量1500mlを目安にして摂る
と言っても、なかなかこの量の水を飲むのは大変です。
40代の僕でさえ水を1.5リットル飲もうと思うと正直しんどいです。
高齢者の方ならなおさらきついでしょう。
水分はペットボトルなどの水だけでとるのは大変ですが、料理の中の汁ものでも補給することができます。
また適量であれば塩分補給も同時にできるので有効です。
(ただし塩分の摂取に制限のあるかたは注意が必要です)
水の撮り方の良い方法の1つ
・朝食時
・昼食時
・3時のおやつ時
・夕食時
・入浴後
・寝る前
習慣づけられるまでは時間がかかるかもしれませんが、紙に飲むタイミングを書き壁に貼るなどして、飲む習慣をつけるように心がげてもらうのも良いでしょう。
高齢者の室内温度の管理
◆どうにかしてエアコンを使ってもらう!
・根気よく説得する
まずは身近な家族が直接会って説得することが大事です。
「熱中症」の危険性を分かってもらい、家族が心配していることを伝え、エアコンの使用を習慣づけてもらえれば一番いいでしょう。
お孫さんがおられるのであれば、お孫さんからもお願いすれば、より納得してもらえるかもしれません。
・習慣になるまでは気にかけてあげましょう
エアコンを使ってくれるようになっても、それが「習慣」となるにはやはり時間がかかります。
最初は忘れてしまうことも多いと思います。
毎日、もしくは週に数回決まった時間に電話をして、「エアコンつけてる?」と確認してつけてもらうようにしましょう。
・部屋の壁に貼っておく
お孫さんがおられるのであれば、「エアコンつけてね」とお孫さんが書いた手紙や絵を貼っておくのも良いでしょう。
家族がみんなが心から心配しているのを分かってもらえれば、エアコンをつけてもらうこともしやすくなるのではないでしょうか。
◆エアコンの調節やタイマー
直接会いに行った際に寒くなりすぎないようにエアコンの温度調節などをしておいてあげるのも良いでしょう。
また、温度の上げ下げや、タイマーなどエアコンの簡単な操作方法を丁寧に説明してあげましょう。
ただ忘れやすいことなので、同じ様に簡単な操作方法を書いた紙を壁などに貼っておいてあげるのもおすすめです。
ちなみに寝ている間に熱中症になるケースもあるので、暑い夜はタイマーにせずに朝までつけたままにした方が良いです。
高齢者で認知症の一人暮らしの方がおられる場合は、こまめに電話をしたり、一週間に一度は誰かが様子を見れるようにしておきたいですね。
◆エアコンの買換え
高齢者世帯には15年以上前の古いエアコンを使っている場合も多いです。
近年の夏の真っ盛り時にエアコンが壊れてしまったりして使えなくなれば本当に命に関わる問題になってきました。
高齢者の方がエアコンを使わない理由の中には
「高い電気代」や「エアコンの風が苦手」などがあります。
しかし、最新のエアコンではこれらの問題が改善されている部分が多く節電効果も高く15年前のエアコンを買い換えた場合43%の省エネに10年前のエアコンを買い換えた場合は19%の省エネになると言われています。
またエアコンの風が直接当たらないようにコントロールされている冷房機能などもあるので高齢者の方にはやさしい機能がついたものもたくさんあります。
身近な家族に高齢者世帯がある場合は買い換えの必要性があるかどうかを気にかけてあげ、場合によっては手助けをしてあげることも必要です。
高齢者の熱中症を予防するグッズを紹介
高齢者の熱中症の原因は
「水分不足」と「エアコンをつけない」
この2つがほとんどです。
そこでそれらを予防するグッズをいくつか紹介していきましょう。
飲食物での熱中症予防グッズ
経口補水液
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経口補水液とは食塩とブドウ糖を混合して水に溶かしたものです。
軽度から中等度の脱水状態において不足しているナトリウムなどの塩分を素早く補給できる飲料です。
兼こんな場合に飲んでも問題ありませんが健康状態がさらによくなるものでもないです。
水分補給ゼリー
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水分を美味しく補給できるゼリー状の飲み物です。
噛んで食べるのが困難な高齢者にも比較的補給がしやすいものになっています。
温度管理による熱中症予防グッズ
熱中症指数計
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熱中症や乾燥の注意度をLEDとブザーの音で知らせてくれる携帯型の熱中症指数計チェッカーです。
ネックストラップ付きなので首からぶら下げたり、お出かけの際にはカバンにつけたりもできます。
熱中症対策温度計
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熱中症指数WBGT・温度・湿度が同時に液晶表示される計測器です。
熱中症指数アラームがLEDランプとブザーオンで知らされるので分かりやすいです。
水分補給の目安にしたり、エアコンをつけるタイミングを決めるのにも役立つでしょう。
※WBGT:熱中症を予防することを目的として提案された暑さ指数のことです。
防雨形温度計30
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温度計と4段階のレベルで分かる簡易熱中症注意目安計がついています。
温度計や湿度計の針が一定の場所に来たら「エアコンを付ける目安にする」と決めておくのもいいでしょう。
環境管理温度計
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温度計針と湿度計針の重なる点で4段階のWBGT参考値を知らせてくれます。
WBGT参考値は熱中症注意目安の指数になります。
就寝時による熱中症予防グッズ
アイスノン
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昔から定番のひんやりまくらです。
凍らずにやわらかいまま使える「不凍ゲルタイプ」の保冷まくらです。
持続時間は3~6時間でくりかえし使用できます。
暑い夜の就寝時におすすめです。
接触冷感敷きパッド
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肌が生地に触れたときに冷たく感じる素材でできた、暑くて寝苦しい夏におすすめな冷感敷きパッドです。
その他の熱中症予防グッズ
ひんやりネッククーラー
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本体を水に浸して軽く絞って首に付けます。
本体に含まれた水が蒸発するときの気化熱によってひんやりとします。
また着脱可能のクールジェルを冷やして、ポケットに入れて使用することもできます。
「高齢者の一人暮らしの熱中症の原因と対策 予防するグッズも紹介!」まとめ
高齢者の一人暮らしの方が家族におられる場合の熱中症対策について紹介しました。
お年寄りは体内の水分量が少ないのに加え、汗をかきにくかったり、喉の渇きも感じにくかったりと水分補給が遅れ脱水症状になりやすいのです。
また暑さを感じにくかったり、エアコンの風が苦手だったりで、エアコンをつけない方が多く、これらのことが原因で熱中症になりやすいことがわかりました。
身近な家族ができるだけ説得して、水分補給であったり、エアコンの使用を促してあげることがとても大切になってきます。
高齢者にとって熱中症は命に関わる重要な問題です。
兄弟やお孫さんなどがおられる場合などは、家族がみんなで協力しあって熱中症から守ってあげることが必要です。
様子を見にいくことが困難な場合などは、こまめに連絡をしたり、高齢者の方がお住まいになられている隣近所の方、あるいは介護士やヘルパーさんなどと相談して定期的に様子を見るようにしてあげることが非常に大事になってきます。
近年の猛暑は馬鹿にできません。特に高齢者の一人暮らしでの熱中症はまさに命に関わる問題なのでしっかりと注意して見守ってあげましょう。
高齢者の一人暮らしの方の熱中症対策についての参考になれば幸いです。