暦(こよみ)について調べているとよく出てくる
『太陰暦』や『太陽暦』や『太陰太陽暦』
どれも暦法の一つです。
今回はその中から『太陰暦』について詳しく
かつ簡単にわかりやすく紹介したいと思います。
ぜひ最後まで読んでいただけたらとうれしく思います。
Table of Contents
太陰暦とは
『太陰暦』は「たいいんれき」と読み、暦法の一つです。
暦(こよみ)というのは「カレンダー」のことですね!
「太陰暦」と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、「太陰」とは夜空に浮かぶ「月」のことです。
つまり「月をもとにしてつくったカレンダー」ってことです。
昔の人は月の満ち欠けによって暦を決めていたのです!
■なぜ太陽ではなく月を基準に暦を決めたの?
季節によっての太陽の高さとかの違いは分かるかもしれません。
しかし、日々変化する太陽の違いなんて毎日見ていても分からないですよね。
まして、太陽はまぶしくてじっと見ているわけにもいきません。
その点、お月さんは毎晩変化が分かりすいですよね。
「三日月」や「満月」「新月」などの形はもちろん、見える時間も日々変化します。
昔の人からすれば暦を決める時の基準として使いやすかったんでしょうね。
■太陰暦での1ヶ月はどう決めたの?
太陰暦での1日(ついたち)
満月の真逆で、全く見えなくなる月を「新月(しんげつ)」といいます。
太陰暦では新月の日を1日としました。
1日(いちにち)ではなく1日(ついたち)です。w
新月は「朔月(さくげつ)」とも呼ばれています。
「朔」という字には「はじめ」という意味があるので、月の満ち欠けの始まりを表わしてるんですね。
昔の人は夜に外に出て月が見えなければ
「今日は1日(ついたち)か~!」
と分かったんですね。。
雨の日や曇っている日は別ですよ!(笑)
でもよく考えてみれば、昔の人たちも微妙な天気で月が見えない日に勘違いしていたこともあったかもしれないですよね……。ww
太陰暦での1ヶ月は?
月は「新月」から「三日月」「上弦の月」を経て15日目に「満月」となります。
そして「下弦の月」からまた「新月」へとなります。
この月の満ち欠けをもって1ヶ月とされました。
「新月」が1日で次の「新月」が翌月の1日となったわけです。
ちなみに「三日月」というのは新月から数えて3日目の月だから「三日月」となります。
朔望月について
この「月の満ち欠け」の1周する期間のことを「朔望月(さくぼうげつ)」といいます。
「朔」は新月のことで「望」とは満月のことです。
太陰暦での一年の長さは?
地球が太陽の周りを回っているように、月も地球の周りを回っています。
太陰暦は月の満ち欠けによって1ヶ月が決まるとお伝えしました。
まずは太陰暦での「1ヶ月の長さ」についてお伝えします。
太陰暦での1ヶ月の長さは?
「月の満ち欠け」というのは、月が地球の周りを一周することによっておこります。
月が地球の周りを一周するのにかかる時間は約29.5日かかります。
新月から次の新月までが29.5日なんです。
もっと細かく言えば
平均29.530589日になります。
もっともっと細かく言えば
29日と12時間44分3秒…。
………ってことは、太陰暦での1ヶ月の長さは本当は約29.5日になりますよね?
でも……29日を過ぎたら残りの日が「0.5日(半日)」で終ったかと言えばそうではありません(笑)
1年の中で1ヶ月を29日間の月を6回、30日間の月を6回作ったんです。
そうすれば1ヶ月の平均が29.5日になりますよね。
そして
・1ヶ月が29日間の月を「小の月」
・1ヶ月が30日間の月を「大の月」
としました。
太陰暦での1年は今よりかなり短い!?
1ヶ月が29日間の「小の月」×6回
1ヶ月が30日間の「大の月」×6回
とすると1年は354日になります。
29.5日×12回は354日 ですよね。
■太陰暦での1年=354日
1年が365日の現在の日本の暦とは大きく違います!
11日も足りないのです。
太陰暦の1年でおこる季節のズレについて
1年が365日の今の暦(太陽暦)と比べると11日足りない。
ってことは、2年目が11日も早く始まるってことになります。
そのままいけば、2年間で22日、3年間で33日もズレがおこります。
つまり3年経てば1ヶ月以上のズレがおこるということになります。
このままいけば
■約8年=約88日(季節が1つ分早くなる)
■約33年=季節が一周
となります。
太陰暦のズレを太陰太陽暦がカバー
「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」
と読みます。
「太陰暦」は月の満ち欠けが基準でした。
しかし季節感にズレがおこります。
季節を決めるのは太陽の動きなので、太陽の動きにも注目し暦に取り入れることで季節感のズレを補正するのです。
■太陰太陽暦=月の満ち欠け+太陽の運行を基準にした暦法
約3年に1度の「閏月(うるうづき)」を加えて1年を13ヶ月にすることによって太陰暦でおこる3年間で33日間おこるズレを調整し、季節感を補正することができます。
太陰太陽暦についてさらに詳しくはこちらから
⇒太陰太陽暦とは?わかりやすく解説~日本の旧暦の歴史も紹介!
二十四節気について詳しくはこちらから
閏月について詳しくはこちらから
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!
七十二候について詳しくはこちらから
純粋太陰暦とは
季節のズレを考慮した「太陰太陽暦」に対して、全く考慮しない暦を『純粋太陰暦』といいます。
『純粋太陰暦』では1ヶ月が29日間の月と30日間の月を交互におき、1年を354日とします。
閏月は設けられませんが、30年に11回の割合で1ヶ月が30日間の月を2回続けられて1年が355日となります。
っということなので……。
当然毎年季節感がズレていきます。
1月が「冬」から「夏」に、8月が「夏」から「冬」になったりするのです。
この季節のズレは約33年たてば元へと戻ります。
すごいですよね…。
たとえば、10歳の子供が8月初め頃に海へ行ったとするなら、次に夏の8月に海に行くのは43歳頃ってことですよ。
お正月を夏に迎えることだってあるわけですよね?
季節が真逆になったりするなんて……南半球や北半球を行ったり来たりしなくても暦によってできるんですね(笑)
イスラム暦について
『純粋太陰暦』の中でももっとも有名なのが「イスラム暦」になります。
「ヒジュラ太陰暦」や「ヒジュラ暦」「マホメット暦」「回教暦」とも呼ばれています。
ユリウス暦(太陽暦の1つ)622年7月16日を紀元1年1月1日とする暦で主にイスラム教社会で使われています。
奇数の月(1月・3月・5月・7月・9月・11月)が30日間
偶数の月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)を29日間
とします。
29日の月と30日の月が交互になるんで分かりやすいですよね!
『純粋太陰暦』の所で紹介したように「閏月」などは入れられませんが、30年間に11日の「閏日」が入れられます。
閏日が設けられる年には本来29日までの12月を30日までとし1年が355日になります。
ちなみに、イスラム暦ではおもしろいことに日の始まりがなんと日没になります。
そして、イスラム圏の中でも現在は一般の生活においては太陽暦に切り替えたところもあるようです。
しかし宗教的行事はすべてイスラム暦に従って行われているそうです。
断食の月は「ラマダーン」といわれるイスラム暦の第9月に行われ、「ハッジ」といわれるメッカへの巡礼はイスラム暦第12月に行われます。
「太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?」のまとめ
太陰暦をわかりやすく解説しました。
月を基準にした暦なので1年は354日となり、どんどん季節はズレていきます。
太陰暦をもとにした太陰太陽暦などもありますが、ほとんど手をつけない純粋太陰暦っていうものもあり現在でも使われているんですね。
ちなみに旧暦と新暦の違いについてはこちらで解説しているので、興味があればぜひご覧下さい!
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
また、旧暦での月名の簡単な覚え方をこちらで紹介しています。
暦について調べておられる方の参考になれば幸いです。