「弥生」と聞くと何をイメージするでしょうか?
月の異名? 女の子の名前? 歴史に出てくる時代の名前?
それとも会計ソフト?w
色んなところで使われている『弥生』ですが
ここでは「和風月名」として使われている『弥生』について
その意味と由来、そして弥生が今でいういつ頃を表していたのか?
などを紹介していきます。
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弥生の意味と由来について
弥生は「やよい」と読み、旧暦の3月を意味します。
現在でも3月を表す月の異名として知られています。
他にも1月を「睦月」2月を「如月」と呼ぶこのような月の名前のことを『和風月名(わふうげつめい)』といいます。
昔の人々は単純に「1月」「2月」といったような数字で月を表すのではなく、それぞれの月に季節にマッチした名前や意味を持たせて呼んでいたのです。
では『弥生』にはどんな意味や由来があるんでしょうか?
弥生の意味や由来と語源について
『弥生』という漢字に注目して下さい。
「弥」と「生」に分けることができますね。
この「弥」や「生」という漢字にはそれぞれ意味があり
『生』は「草木が芽吹くこと」
といったことを表しています。
つまり、旧暦の三月は
「いよいよ(弥)、草木が生い茂る(生)時期」
ということだったのです。
昔の暦(こよみ)では二月(如月)は今でいう春でした。
草木たちが動き始めますがまだまだ活発ではない時期ですよね。
それが、弥生に入るとさらに暖かさも増してき、草木たちも活発に活動をしだして生い茂っていきます。
そういった、まわりにあふれる自然の様子から
「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」
と例えられました。
実はこれが『弥生』の語源なのです。
「木草弥や生ひ月」が省略されて「弥生(いやおい)」になります。それが長い年月を経て変化していき「やよい」となっていったんです。
『弥生』には「春が来ていよいよ本格的に暖かくなり、草木が生い茂っていく時期」という意味があったんですね。
弥生は今でいうといつ頃?
さきほどの『弥生』の由来でも少し触れましたが、昔の暦での弥生は現在の三月とは少し時期がズレます。
というのも、今と昔では使われている暦(こよみ)が違うからです。
簡単にいうとカレンダーが今とは違うといったところでしょうか。
だいたい今のカレンダーからすると、1ヶ月~2ヶ月ほどのズレがありました。
約150年前の1873年(明治6年)までは、その昔の暦が使われていたのです。
つい最近ですよね?
それまで昔の人たちは月の名前を単なる数字ではなく季節感のある言葉で呼んでいたのです。
旧暦の弥生は今ではいつ頃?
昔の暦を旧暦、今の暦を新暦といいます。
新暦は太陽暦といって、みんなが知っている今のカレンダーです。
旧暦は「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」といって月と太陽のめぐりが両方取り入れられていました。
月の満ち欠けをもって1ヶ月となるので12ヶ月で354日しかなく、今の太陽暦よりも11日も短かったのです。
短い分は32~33ヶ月に一度「うるう月」が入れられ13ヶ月にして調整していたようです。
■新暦=太陽暦(太陽の運行にそった暦法)
■旧暦=太陰太陽暦(月の満ち欠けと太陽の運行を基準に組合せた暦法)
旧暦での『弥生』を今の新暦に変換してみると………。
■3月下旬~5月上旬頃
になります。
現在とは約1ヶ月ほどズレてますよね。
さきほどの「いよいよ、草木が生い茂っていく時期」というのがまさにあてはまります!
現在の3月と比べると初旬でもかなり暖かく、下旬だともう春が終るころになりますね。
■閏月の入れ方や仕組みに関して詳しくはこちらから
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!
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弥生(三月)の行事について
ちょっとここで”ひとやすみ”ww
三月の行事や風習に関する記事がいくつかあるので紹介しておきます。
興味のあるかたはぜひご覧下さい!
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⇒春分の日とは?意味や決め方について!その年で変わるのはなぜ?
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弥生以外の異名を紹介
三月の和風月名『弥生』を紹介しましたが、三月には『弥生』以外にも月の異名がたくさんあります。
地方によって『三月』を色んな言葉で表現していたんですね。
いくつか紹介していきます。
■花見月(はなみづき)
綺麗な響きですよね。
三月が桜が咲く時期であったためにこのように呼ばれていたのです。
月をこのように呼ぶとは本当に素敵な表現です。
■花つ月(はなつづき)
梅・椿・桃・桜・杏といった多くの花が咲く時期にあたるため、花が咲き続くことからつけられたのでしょう。
■花惜月(はなおしみつき)
花シリーズは続きます。(笑)
花が咲き続ける時期ではありますが、同時に散っていく時期でもありました。
春が終わりに向かい惜しまれる様子が表れていますね。
■花飛(かひ)
花が飛んで散って行く様子が表わされていますね。
■雛月(ひいなづき)
三月三日にひな祭りが行われることから呼ばれていました。
■禊月(けいげつ)
三月三日の上巳の節句に禊(みそぎ)を行う習慣があったことに由来しています。
■竹秋(ちくしゅう)
竹の葉が黄色くなる時期なので。
■夢見月(ゆめみつき・ゆめみづき)
こちらもなんかロマンチックな異名です。
夢見草(桜)が咲く月ということに由来します。
■春惜月(はるをしみつき・はるおしみつき・はるをしみづき・はるおしみづき)
旧暦三月は春が終っていく時期にもあたります。
春を惜しむ気持ちが表わされていますね。
■晩春(ばんしゅん)
旧暦では1月、2月、3月が春とされます。
3月は春の最後の月なのでこのように呼ばれていました。
■季春(きしゅん)
「季」には春夏秋冬の終わりの月という意味があります。
旧暦では三月は春の終わりにあたるのでこのようにも呼ばれていました。
■殿春(でんしゅん)
「殿」には”後”という意味があります。
春の後半にあたるので「殿春」です。
■蚕月(さんげつ)
蚕が卵から孵って、養蚕が始まることから。
■鶯乱啼(おいらんてい)
ウグイスが乱れるように盛んに啼く(なく)時期になることから。
■病月(へいげつ)
寒暖差で体調を崩しやすい時期でもあることから。
昔の人たちは、この時期に風をひいたりする人がかなり多かったのかもしれませんね。
■愈老(やよい)
弥(いよいよ)が愈(いよいよ)に、生(おい)が老(おい)に通じることから
■建辰月(けんしんつき・けんしんづき)
「建」という文字は北斗七星の柄を意味しています。
そのあとに続く「辰」というのは十二支の「たつ」を表しています。
古代の中国では北斗七星の柄の先が真下の北の方角を指すようになる月(11月)を十二支の最初にあたる子(ねずみ)から「建子月」としていました。
そこから順に12月が「建丑月」、そして1月が「建寅月」となり3月にあたるのが「建辰月」になります。
■その他の三月『弥生』の異名
三月にはまだまだたくさんの異名があります。
名前と読み方だけでも紹介しておきましょう。
■その他の三月の異名 | |
・雩雲(ううん)
・嘉月(かげつ)※1月とする文献もあり ・佳月(かげつ)※1月とする文献もあり ・花月(かげつ)※2月とする文献もあり ・華節(かせつ) ・花老(かろう) ・喜月(きげつ) ・帰春(きしゅん) ・恵風(けいふう) ・穀雨(こくう) ・姑洗(こせん) ・沽洗(こせん) ・五陽(ごよう) ・載陽(さいよう) ・桜月(さくらづき) ・早花咲月(さはなさづき・さはなさきづき) ・早花月(さはなづき) ・残景(ざんけい) ・蠶春(さんしゅん) ・残春(ざんしゅん) ・三陽(さんよう) ・染色月(しめいろづき) ・終春(しゅうしゅん) ・宿月(しゅくげつ) ・主陽(しゅよう) ・春帰(しゅんき) ・春末(しゅんまつ) |
・春杪(しゅんびょう)
・称月(しょうげつ) ・杪春(びょうしゅん・しょうしゅん) ・辰月(しんげつ) ・寝月(しんげつ) ・清明(せいめい) ・餞春(せんしゅん) ・辰の月(たつのつき) ・中姑(ちゅうこ) ・重三(ちょうさん) ・桃月(とうげつ) ・莫春(ばくしゅん) ・発陳(はっちん) ・花月(はなづき) ・寎(へい・やよい) ・寎月(へいげつ) ・芳春(ほうしゅん) ・暮春(ぼしゅん) ・暮陽(ぼよう) ・暮律(ぼりつ) ・末春(まっしゅん) ・三月(やよい) ・弥生月(やよいづき) ・餘春(よしゅん) ・余春(よしゅん) ・緑秀(りょくしゅう) ・老鶯(ろうおう) |
「弥生の意味と由来!今でいうといつ頃?他の3月の異名も多数紹介」まとめ
『弥生』についての意味や由来、またたくさんの異名を紹介しました。
睦月、如月、弥生、と続く月の異名。
けっこう覚えるのが大変です。
月の異名の覚え方を簡単な語呂合せで短歌にしてみました。
よかったらぜひご覧下さい!
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⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?
月の異名について意味や由来を調べておられる方の参考になれば幸いです。