旧暦に使われていた『太陰太陽暦』
『太陰太陽暦』で使われるようになった「閏月」
「閏月」を入れる時には「二十四節気」が深く関わってきます。
「閏月」の意味や、どこに入れるかの決め方について、また二十四節気との関わりについてもできるだけわかりやすく簡単に紹介していきます。
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旧暦の閏月の意味とは?
このブログを選んでご覧になっておられるということは、暦のことについては何となく知っておられる方がほとんどだと思います。
ですが、まず初めに太陰太陽暦について簡単にだけ説明しておきます。
「そんなことは知ってるよ!」という方はぜひ先へとおすすみ下さいね。w
旧暦っていったいなに?
日本では1873年の1月1日に改暦が行われ現在みなさんが使っている「太陽暦」となりました。
それ以前には『太陰太陽暦(たいいんたいようれき)』という暦が長い間使われていました。
この『太陰太陽暦』のことを旧暦といいます。
ちなみに日本での『旧暦』とは、太陽暦に変わる直前に使われていた太陰太陽暦である「天保暦(てんぽうれき)」のことを一般的に指します。
旧暦(太陰太陽暦)は『太陰暦』をベースに作られた暦になり、「1ヶ月」の長さは「月の満ち欠け」によって決められました。
太陰太陽暦の1ヶ月~小の月と大の月~
太陰太陽暦での1ヶ月は「月の満ち欠け」によって決まります。
1ヶ月の始まりの1日目を「新月」の日とし、そしてそこから三日月、満月などを経て、次の「新月」までの期間を1ヶ月と決めたのです。
こういった「月の満ち欠け」は月が地球の周りを回ることによっておこります。
月が地球の周りを一周するのにかかる日数は約29.5日にでした。
そこで、1年の中で1ヶ月が「29日間」の月を6回と「30日間」の月を6回、設けて1年(12ヶ月)の平均が29.5日となるようにしました。
その際
29日の月を「小の月(しょうのつき)」
30日の月を「大の月(だいのつき)」
と呼びました。
■旧暦(太陰太陽暦)での1年は短っ!!
昔の1年も今とおなじく、12ヶ月で構成されていました。
「大の月」と「小の月」を合せて12回で1年です。
それぞれが6回ずつ繰り返されることで1年となったのです。
ただし、その日数を数えてみると……。
(30日×6ヶ月)+(29日×6ヶ月)=354日
太陰での1年は354日でした。
現在の皆さんが使っている暦よりも11日も少ないですよね。
旧暦での1年はかなり短かったのです。
旧暦で使われた閏月
太陰暦では1年が354日と短かったとお伝えしました。
……ってことはどうなるのかというと?
翌年から少しずつ季節にズレがおこりますよね!?
2年目が11日も早くやってくることになり、
3年目は22日も早く迎えられます。
そして4年目にもなると33日も早く新年がやってくることになります。
33日といったら1ヶ月以上になります。
このズレを補正するために、考えられたのが『閏月(うるうづき)』でした。
「じゅんげつ」とも呼ばれています。
ちなみに僕たちが使ってるのは「うるう日」が入る「うるう年」なので間違いないように…。
約3年に1度(細かく言えば約32~33ヶ月に1度)の割合で「閏月」が入れられて、その年を1年13ヶ月にすることで季節感のズレを調整したのです。
まるまる1ヶ月をどこかに入れたのです。
旧暦での閏月の決め方とは?
ではその『閏月』というのはどういった決め方で入れられたのでしょうか?
『閏月』を入れる決め方について紹介しましょう。
閏月を入れる『メトン周期』について
閏月を19年間で7度入れると、ほぼ誤差が無い暦を運用できると知られていました。
その周期のことを『メトン周期』といいます。
ちなみに中国では『章(しょう)』といいます。
「どいういうこと?」ってなりますよね……。
■太陽暦の19年分は太陰暦の235ヶ月分?
「太陰暦」での1ヶ月は「月の満ち欠け1回分」ですよね?
つまり月が地球の周りを1周すれば1ヶ月です。
そして、この「太陰暦」での235ヶ月分の長さが「太陽暦」の19年分の長さとほぼ同じだということです。
『太陽暦』は地球が太陽の周りを一周するのを1年とします。
地球が太陽の周りを一周するのにかかる日数は正確には365.24219日となります。
①365.242519日×19年=6939.602日
太陽暦19年分の日数は約6939日です。
そして、月の満ち欠けは月が地球の周りを一周することでおこります。
月が地球の周りを一周するのにかかる日数は正確には29.530589日となります。
②29.530589日×235ヶ月=6939.688日
太陰暦での235ヶ月も約6939日になります。
235ヶ月=19年と7ヶ月です。
太陽暦での19年=太陰暦での19年と7ヶ月
となりました!
つまり『閏月』を19年の間に7回入れれば、ほぼ誤差がなく暦を運用できるのです。
言い方を変えれば6939日ごとに太陽と月の周期が同期するということです。
これはギリシアのメトンという数学者が発見したので「メトン周期」と呼ばれています。
ちなみに、古代中国で使われていた「章(しょう)」も同じ仕組みをもっており、暦にも使われていました。
どちらかが先に発見され伝わっていったのか、あるいはどちらも独自に発見されたのかは分かっていません。
次に「閏月」がどうやって挿入されたのか?を紹介していきますが、挿入する際の決め方に大きく関わっているのが『二十四節気(にじゅうしせっき)』になります。
旧暦の閏月と二十四節気の関係
もともと『二十四節気(にじゅうしせっき)』は閏月をどこに挿入するのかを計算で決めるためのものとも言われています。
二十四節気は古代中国で作られたものですが、当時は農業をする上で季節の目安となるとても重要なものでした。
二十四節気について
ここでの二十四節気の説明については以下の表を参考にして下さい。
『二十四節気』には「節」と「中」の区別があります。
■「節」は季節を決める目安として使われています。
つまり表のように「春」は節である立春から始まり、「夏」は同じく節がある立夏から始まります。
■「中」は何月かを決める要素となります。
「春分」「夏至」「秋分」「冬至」がそれぞれ「中」になっています。
「春分」が含まれている月は2月
「夏至」が含まれている月が5月
「秋分」が含まれている月を8月
「冬至」が含まれている月が11月
としています。
またこれによって、その前後の月も決められます。
例:春分の含まれている月が「2月」なので、その前後である「1月」と「3月」が春となります。
■春:1月・2月(春分)・3月
■夏:4月・5月(夏至)・6月
■秋:7月・8月(秋分)・9月
■冬:10月・11月(冬至)・12月
季節 | 二十四節気名 | 月 | 節と気 | 日付(新暦こ) |
春 | 立春(りっしゅん) | 正月 | 節 | 2/4頃 |
雨水(うすい) | 中 | 2/19頃 | ||
啓蟄(けいちつ) | 二月 | 節 | 3/5頃 | |
春分(しゅんぶん) | 中 | 3/20頃 | ||
清明(せいめい) | 三月 | 節 | 4/4頃 | |
穀雨(こくう) | 中 | 4/20頃 | ||
夏 | 立夏(りっか) | 四月 | 節 | 5/5頃 |
小満(しょうまん) | 中 | 5/21頃 | ||
芒種(ぼうしゅ) | 五月 | 節 | 6/5頃 | |
夏至(げし) | 中 | 6/21頃 | ||
小暑(しょうしょ) | 六月 | 節 | 7/7頃 | |
大暑(たいしょ) | 中 | 7/22頃 | ||
秋 | 立秋(りっしゅう) | 七月 | 節 | 8/7頃 |
処暑(しょしょ) | 中 | 8/23頃 | ||
白露(はくろ) | 八月 | 節 | 9/7頃 | |
秋分(しゅうぶん) | 中 | 9/23頃 | ||
寒露(かんろ) | 九月 | 節 | 10/8頃 | |
霜降(そうこう) | 中 | 10/23頃 | ||
冬 | 立冬(りっとう) | 十月 | 節 | 11/7頃 |
小雪(しょうせつ) | 中 | 11/22頃 | ||
大雪(たいせつ) | 十一月 | 節 | 12/7頃 | |
冬至(とうじ) | 中 | 12/21頃 | ||
小寒(しょうかん) | 十二月 | 節 | 1/6頃 | |
大寒(だいかん) | 中 | 1/21頃 |
二十四節の仕組みに興味のある方はこちらをどうそ!⇒二十四節気とは?決め方や意味は?わかりやすく解説!
そして、二十四節気よりもさらに季節が細かく分けられた『七十二候(しちじゅうにこう)』も作られます。
七十二候によって農業などの目安はさらに分かりやすくなりました。
現在使っている『気候』という言葉は、この「二十四節気」と「七十二候」がもとになって出来ているのです。
七十二候についてはこちらで詳しく紹介しています。
閏月は中気を含まない月に置く?
閏月というのは二十四節気の中気を含まない月に置くとなっているのですが、「どういうこと?」ってなりますよね。
わかりやすくするために、「中気の間隔」と「月の満ち欠けの間隔」について解説します。
■中気の間隔
二十四節気とは1太陽年を日数によって24等分したものです。
その二十四節気の中に「中」は全部で12こありますよね?
この12こある「中」はほぼ等間隔であるのですが(正確には等間隔ではありません)、その間隔は「約30.44日」となります。
1太陽年=365.25日
365.25日÷12=約30.44日
まずこの「中の間隔=約30.44日」ってのを覚えていてくださいね!
■月の満ち欠けの周期
次に「月の満ち欠けの周期」のことを『朔望周期(さくぼうしゅうき)』
と言うのですが、この『朔望周期』は平均約29.53日となります。
「朔望周期=約29.53日」
ここでさきほどの「中の間隔」と「朔望周期」を比べてみると………。
30.44日(中の間隔)
29.53日(朔望周期)
「中の間隔」の方が「朔望周期」よりも0.91日、つまり1日弱ほど長くなります。
この1日弱の差があるために、月の満ち欠けが1回行われる「朔望周期」の中に一度も「中」が現われないという時が訪れてしまいます。
だいたい33~34ヶ月(33~34朔望周期)に一度の割合でおこるのですが、この「中」が含まれない月が『閏月』となります。
「中」はその月の名前を決めるものですが『閏月』には「中」が含まれないので、その月は「閏」という文字をつけて『閏○月』と呼びます。
例. 1月、2月、3月、閏3月、4月、5月………
というように、「閏○月」というように「閏」という漢字が前につけられました。
ちょっとした疑問ですが、例.のように「3月・閏3月」とあった場合誕生日は2回やってもらえたんでしょうかね?(笑)
■閏月のある年の長さ
閏月のある年は1年が384日前後になります。
旧暦での1年は普段は354日ですが、閏月のあるうるう年には約30日も増えるんです。
これが約3年に一度おこるなんて、現在からしたら不思議な暦ですよね。
なかなか慣れなさそうです。ww
「旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!」のまとめ
旧暦の閏月の意味や決め方について紹介しました。
閏月の決め方には二十四節気がお菊関わっていたのです。
他にも暦に関連する記事が多数あるので興味のある物があればぜひご覧下さい!
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?
⇒太陰太陽暦とは?わかりやすく解説~日本の旧暦の歴史も紹介!
暦について調べておられる方の参考になれば幸いです。