暦のことを調べていると良く出てくる『太陰太陽暦』
太陰暦や太陽暦とはどう違うの?
今回は『太陰太陽暦』の仕組みについて
詳しく、出来るだけ簡単にわかりやすく解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧下さいね。
Table of Contents
太陰太陽暦とは?わかりやすく紹介
『太陰太陽暦』って書くと漢字ばっかりなので難しく感じるかもしれません。
漢字を分けて見てみると
“太陰と太陽の暦”
「太陰」というのは夜空に浮かぶ「お月さん」のことです。
つまり「月と太陽を基準にして作った暦」ということですね。
「暦(こよみ)」というのはカレンダーのことです。
少し親しみやすくなったんじゃないでしょうか?w
■太陰太陽暦は太陰暦がもと?
実は太陰太陽暦は「太陰暦」を元に作られた暦なのです。
「太陰暦」は月の満ち欠けを基準にした暦です。
■太陰暦での「1ヶ月」
太陰暦では「1ヶ月」という長さを月の満ち欠けで決めていました。
月が見えなくなる新月を1日(ついたち)とし、三日月を経て満月になるのが15日、
そしてまた新月に戻ってくるとちょうど一ヶ月ということになります。
ちなみに三日月というのは、新月から数えて3日目の月だから「三日月」と呼ぶのです。
太陰暦に関してさらに詳しくはこちらから
⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?
■太陰暦でのデメリット
太陰暦では月の満ちかけで1ヶ月が決まると紹介しました。
「月の満ち欠け」は月が地球の周りを一周することによっておこります。
しかし厳密にいうと月は約29.5日で地球の周りを一周します。
中途半端な数字ですよね?
「毎月29日が過ぎたら、翌日は半日(12時間)で終ってしまうの?」
そうではありませんww
1ヶ月を29日間の月「小の月」と30日間の月「大の月」という2パターン作ることにしたのです。
「小の月」×6ヶ月+「大の月」×6ヶ月=1年
としたのです。
これで毎月の平均が29.5日になりますよね。
昔の人って賢い!
ですが、ここで問題が!
この29日もしくは30日を1ヶ月とする暦では1年が354日になります。
29.5日×12ヶ月=354日
太陰暦の1年は354日だったのです。
365日(現在の暦の1年)-354日(旧暦での1年)=11日
現在みんなが使っている太陽暦と比べると11日も足りません。
1年で11日少ないということは……。
新年が始まるのが早くなり季節が少しズレますよね!?
その暦のまま進めば、2年で22日、3年経てば約1ヶ月のズレとなるんです。
この「季節のズレ」が生じるというのが太陰暦でのデメリットなのです。
放っておけば12月が夏になったり、8月が冬になったりと季節もバラバラになっていきますよね?
■太陰太陽暦のメリット
太陰暦でのデメリットを補うためにある方法が考えられます!
つまり季節のズレを補正するということです。
本来、季節というのは太陽の動きで決まりますよね?
夏は太陽が高く、冬は低くなります。
なので太陽の動きにも注目し、季節感のズレを合わせるために「閏月(うるうづき)」というのを使って調整しました。
「うるう年」は聞いたことがあるかと思いますが、こちらは「うるう月」です。
2月の29日のように「1日」足すのではなく「1ヶ月」まるまる増やすのです。
32ヶ月から33ヶ月に一度「うるう月」を入れて1年を13ヶ月とすることで暦と季節のズレを補正したのです。
日本ではこの「うるう月」を入れるために「二十四節気(にじゅうしせっき)」が用いられました。
1年が13ヶ月になる年では……
「1月、2月、3月、閏3月、4月……」
というように、「閏○月」というように1ヶ月が加えられたのです。
「太陰暦」を元にしながらも、季節のズレを補正するために太陽の動きが取り入れられた暦なので『太陰太陽暦』と呼ばれています。
二十四節気に関して詳しくはこちらから
閏月の決め方やさらに詳しく知りたい方はこちらから
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!
太陰太陽暦の歴史について
起源は太陰暦
太陰太陽暦は「太陰暦」がもとに作られたので、当然「太陰暦」の方が古い暦となります。
太陰暦の起源はなんと紀元前18世紀頃まで遡ります。
古代バビロニアの時代です。
メソポタミア文明を築いたシュメール人によって「太陰暦」が使われ始めたのです。
当時、お坊さんたちは寺院の屋上で毎晩月の観測をしていました。
そしてある時に「月の満ち欠けが一定の周期である」ということを発見します。
そしてその周期を元にして「新月」から「新月」を1ヶ月と決めます。
これが「太陰暦」になり、そこから「月」「日」といった概念が生まれ、
日程を組むといった習慣が生まれたとも言われています。
日本で言えばなんと縄文時代ですよ!
そんな頃に既にこんな発見があり、暦となっていたなんてスゴいですよね!
東洋と西洋の太陰太陽暦
東洋の太陰太陽暦
中国では紀元前1300年頃の中国最古の王朝といわれる「殷」の時代から太陰太陽暦が使用されていたことが分かっています。
太陰暦と同じく1ヶ月は29.5日で1年は354日になりますが、農耕に適するように何年かに1度閏月をいれて調整されていました。
中国では「二十四節気(にじゅうしせっき)」が挿入され閏月をどこに入れるかの基準にされました。
西洋の太陰太陽暦
先ほどのバビロニアはもちろん、ユダヤ・古代ギリシアなどでも太陰太陽暦が使われていました。
基本は東洋の暦と同じであったんですが、ズレに関しては黄道十二宮を利用して調整されていたようです。
太陰太陽暦と日本の旧暦の歴史
日本では1872年(明治5)の12月2日まで「太陰太陽暦」が使われていました。
翌日に改暦が行われ「太陽暦」へと変わります。
1872年12月3日が1873年1月1日となったのです。
そして、それまで使っていた太陰太陽暦は「旧暦」と呼ばれ、新しく採用された太陽暦は「新暦」と呼ばれるようになります。
■旧暦:1872年12月2日まで
■新暦1873年1月1日=旧暦:1872年12月3日
旧暦と新暦の違いについて詳しくはこちらから⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
■太陰太陽暦が日本で使われたのはいつから?
日本での太陰太陽暦の歴史は飛鳥時代から始まります。
当時の太陰太陽暦は「元嘉暦(げんかれき)」と呼ばれ、中国から朝鮮半島の百済(くだら)を通じて6世紀頃に伝わったものでした。
大和朝廷が暦を作るために百済から僧を招いて天文地理や暦法を学んで作ったのです。
日本書紀には「553年に百済(くだら)から暦博士を招き「暦本」を手に入れようとした」とする記事があります。
そして604年に日本最初の暦が作られたと伝えられています。
それ以来しばらくこの中国式の太陰太陽暦を「和暦(われき))」として使っていました。
飛鳥時代と言えば聖徳太子や推古天皇がいた時代です。
「平城京」が作られた奈良時代よりも前です。太陰太陽暦はそんな昔から使われていたんですよ!
■日本の太陰太陽暦の歴史
飛鳥時代に使われていた「元嘉暦(げんかれき)」のあと江戸時代初期まではその時代その時代で中国から輸入された暦が使われます。
数々のマイナーチェンジしつつも全て太陰太陽暦になりました。
■日本の太陰太陽暦の歴史 | |
・元嘉暦(げんかれき) | 6世紀頃~ |
・儀鳳暦(ぎほうれき) | 690年~元嘉暦とともに使用、690年~単独使用 |
・大衍暦(たいえんれき・だいえんれき) | 764年~861年まで使用 |
・五紀暦(ごきれき) | 858年~861年の4年間、大衍暦と併用される。単独使用はなし |
・宣明暦(せんみょうれき) | 862年~1685年までと最も長い期間使用される |
・貞享暦(じょうきょうれき) | 初の日本人が編纂した暦で1685年~1755年まで使用 |
・宝暦暦(ほうりゃくれき・ほうれきれき) | 1755年~1798年まで使用 |
・寛政暦(かんせいれき) | 1798年~1844年まで使用 |
・天保暦(てんぽうれき) | 1844年~1872年まで使用 |
天保暦(てんぽうれき)は現在最後に使われた「太陰太陽暦」になるので、一般的に「旧暦」と言う場合にはこの「天保暦」のことを指すことがあります。
1872年の12月3日に太陰太陽暦だった「天保暦」は現在の「太陽暦」へと、いわばフルモデルチェンジするのです。
実質は1872年に「12月3日」は存在しないので正確には1873年1月1日が改暦の日となりますが、ここではわかりやすくするために12月3日としています。
そこから現在まで約150年の間、暦は変更されていません。
おそらくこれから先も変更されることはないかと思いますが、もしかしたらさらにさらに精密な暦が発見されたり、変更されたりすることがあれば、現在使っている太陽暦が「旧暦」て呼ばれるんですね!!
まあおそらくないでしょうが…。(笑)
「太陰太陽暦とは?仕組みや太陰暦との違いなどわかりやすく解説」のまとめ
太陰太陽暦についてご紹介しました。
何千年も前の時代からこんな暦が使われていたなんでびっくりです。
また旧暦では月の名前を季節感のある言葉で表現したりもしていました。
「睦月、如月、弥生、……」なども聞いたことがあるかと思います。
このように暦を調べていると昔の人々の賢さや情緒の豊かさに驚かされることが多いです。
暦について調べておられる方の参考になれば幸いです。
関連記事
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!