今回は『夏至』について紹介します。
「夏」という漢字がありつつも季節は「梅雨」真っ只中ですよね……。
夏至と言えば
「一年で一番昼の時間が長くなる日」
ですが、その他にも『夏至』に関するあれこれをまとめてみました。
どうぞ今まで知らなかった夏至に触れてみて下さい!(笑)
ではどうぞ最後までよろしくおつきあい下さい。
Table of Contents
夏至とは?
冒頭でもお伝えしましたが、夏至とは
「一年の中で一番昼の時間が長くなる日」です。
でもこれは北半球に限ることで、オーストラリアなど南半球に行けば真逆の「一年で一番昼の時間が短くなる日」に変わります。
また『夏至』とは「二十四節気の10番目の節気」とよく書かれています。
知らない人からしたら「何じゃそれ…?」ですよね。
なので分かりやすくするために簡単に説明すると…。
・暦(こよみ)における季節の節目をより分かりやすくするために1年を二十四等分したものです。
・昔の人にとって生活と農業は密接した大事なものだったのですが、農作業をする際の正確なタイミングなどを知るために作られたものです。
これらが『二十四節気』になります。ちなみに、二十四節気をさらに細かく分けた『七十二候』というものもあります。
この二十四節気は『立春』から始まります。そして10番目の節気が『夏至』になるということなんですね。
夏至は二十四節気の中でも重要な節目の1つなんです!
二十四節気の二至二分
二十四節気には重要な4つの節目で「二至二分(にしにぶん)」と呼ばれるものがあります。
「春分・夏至・秋分・冬至」の4つです。
夏至・冬至で二至、春分・秋分で二分となり、それぞれが各季節の中心とされています。
春分:一日の昼と夜の長さが同じ
夏至:一日で昼の時間が一番長い
秋分:一日の昼と夜の長さが同じ
冬至:一日で昼の時間が一番短い
関連記事⇒冬至とは?いつ?食べ物やすることなども紹介⇒春分の日とは?意味や決め方について!その年で変わるのはなぜ?⇒秋分の日とは?決め方や意味について!その年で変わるのはなぜ?
夏至の期間の意味とは?
夏至の期間には2つの意味があります。
■「夏至の日」の太陽が夏至点を通過する瞬間を表わす場合
■二十四節気での「夏至」から次の「小暑」の前の日までの期間を表わす場合
二十四節気の夏至は約15日間になります。
この二十四節気がさらに細かく分けられたのが「七十二候」になります。
夏至の七十二候
候 | 七十二候(よみかた) | 意味 | |
夏至 | 初候
6/21~6/25頃 |
乃東枯
(なつかれくさかるる) |
冬に芽を出した「夏枯草(かごそう)」の華が枯れたように見える頃
※夏枯草とはうつぼ草の異名です。 |
次候
6/26~6/30頃 |
菖蒲華
(あやめはなさく) |
アヤメの花が咲き始める頃
※この菖蒲は「ハナショウブ」だと考えられています。 |
|
末候
7/1~7/6頃 |
半夏生
(はんげしょうず) |
半夏が生え始める頃
※半夏とは「カラスビジャク」というサトイモ科の植物の異名です。 |
二十四節気や七十二候では身の回りの自然や植物、動物などの動きと季節の移り変わりとの関わりがしっかりと観察されていました。
このように「どの花が咲いたら種を蒔く」などといったタイミングの目安にされたのです。
そして「半夏生」も農作業での大きな節目の1つで田植えを終えた農家が休息を取る日とされていました。
また「半夏生までに田植えを終わらせる」といった目安にもされました。
半夏生と半夏
名前が紛らわしいのでややこしいんですが……。
■七十二候の「半夏生」
「半夏」という薬草が生える頃。
ここでの「半夏」はカラスビジャクというサトイモ科の植物になります。
かつては「夏至」から数えて11日目にあたる時期とされてたのですが、今では黄経100度の位置を太陽が通過する日となり、だいたい毎年7月2日頃になります。
■雑節の「半夏生」
「ハンゲショウ」というドクダミ科の多年草の葉が半分白くなって化粧をしているようになる頃。
雑節の「半夏生(はんげしょう)」は七十二候の「半夏生(はんげしょうずる)」からつけられた暦日になります。
・七十二候「半夏生」の「半夏」=カラスビジャク
・雑節の「半夏生」=ハンゲショウ(ドクダミ科の多年草)
他の雑節にはに有名なところで「節分」や「彼岸」「土用」などがあります。
夏至はいつ?決め方は?
夏至の日は6月21日ということが多いです。
2020年の夏至も6月21日で、2021年の夏至も6月21日です。
しかし、必ず6/21になるわけではありません。
ちなみに前年の2019年は6月22日でした。
そこで夏至の日どうやって決められているのかを見てみましょう。
夏至の日の決め方
夏至の日は太陽の位置によって決められます。
「夏至の日」を調べてみると
◆「夏至の日=太陽黄経が90度になるとき」
◆「太陽が夏至点を通過するとき」
などとよく書かれているのですが、あまりよく分からないですよね?
そこでわかりやすくするために図を使って説明していきましょう!
これは天球をイメージした図です。
地球から見えた空を大きな球体としてみなしたものです。
実際は太陽の周りを地球が回っていますが、天球上では地球が中心となるので、太陽が地球の周りをまわっているようにみなします。
この天球の真ん中にあるのが地球です。
黄色の球が太陽です。
まず黄色の線に注目して下さい。
地球の周りを太陽が一年かけて回っているように見ることができるかと思います。
この天球上での太陽の通り道のことを『黄道(こうどう)』といいます。
地球から見た太陽の動きを表わしています。
そして次に赤い線を見て下さい。
地球上の赤道を天球上まで拡大して延ばしていくと、天球と重なり大きな円になります。
この円を『天の赤道(てんのせきどう)』と呼びます。
夏至点とは?
先ほど説明した『黄道』と「天の赤道」が交わる箇所が2カ所ありますよね?
このうち黄経0度の部分が「春分点」になり、太陽がここを通過する瞬間が「春分」。それを含む日が「春分の日」となります。
そしてこの太陽の通り道で黄経90度となる部分が「夏至点」になります。
太陽がこの夏至点を通過した時を『夏至』といい、それが含まれる日のことを『夏至の日』といいます。
同様に、黄経180度の位置が「秋分点」で通過した瞬間が「秋分」、その日を『秋分の日』、
黄経270度の位置が「冬至点」で通過した瞬間が「冬至」、そしてその日が『冬至の日』となります。
夏至の日の食べ物やすることは?
日本では冬至にかぼちゃを食べたり、ゆずを入れたお風呂に入ったりといった独特の風習があります。
しかし、夏至の日に食べ物を食べるといった風習などはないようです。
夏至は二十四節気ひとつですが、先ほど説明したように二十四節気は農作業の目安にされたものです。
夏至の時期は農作業も忙しい時期でした。
特に「半夏生」の日は「田植えを終える」目安にもなっていたので、それまでにしなければならないことがたくさんあって、何かをゆっくり食べる場合ではなかったのかもしれないですね。
ただ田植えが終り、「半夏生」から5日間は休みとする地方もあったようです。
ここでは『半夏生』に食べたり行われたりした風習を紹介しましょう。
半夏生での食べ物や風習
<関東>
■小麦餅
昔は稲とともに小麦も同じ畑で栽培する農家が多かったそうです。
小麦は稲よりも早く夏至の頃に収穫されたのでその小麦を使い焼き餅を作って神様にお供えをし豊作を願ったのです。
そして田植えを手伝った方に配ったり食べたりされていたようです。
<関西>
■タコ
大阪の一部の風習に夏至から半夏生のあいだにタコを食べる風習があります。
タコの足には吸盤がついているので海の中でも足が岩にぴたっと張りつきます。
その様子から「稲が根を地面にしっかりと張りますように」との願いの意味があるのです。
■小麦餅
奈良県の香芝市周辺などでは小麦餅を混ぜた餅が食べられていたようです。
同量のもち米と小麦をあわせてつきあわせ、きな粉をかけて作ったもので「はげっしょ」と言われています。
収穫を手伝ってくれた方々に配られたり、豊作を願って食べられたそうです。
<甲信越>
■芋汁
長野県の小川村では芋汁が食べられるようです。
■にんじん・ごぼう
長野県の佐久地域では「はんげんにんじん・なわしろごぼう」と言われにんじん・ごぼうの種を蒔くそうです。
<北陸>
■さば
福井県の大野市では鯖を焼いて食べる地域があるようです。
江戸時代の頃からサバは貴重なスタミナ源として厳しい夏に備えて食べられていたのです。
その風習が今でも残っているそうです。
<四国>
■うどん
香川県ではうどんだそうです。
やはり、といったところでしょうかw
この時期が麦の刈り入れにあたることから収穫した麦を使って作られたんですね。
ちなみに「半夏生」は7月1日頃になりますが、香川県の製麺事業協同組合が7月2日を「うどんの日」として制定しているそうです。
■小麦の団子・まんじゅう
島根県や熊本県の一部では小麦で出来た団子やまんじゅうが作られ神様にお供えされています。
各地域での食べ物を紹介しましたが、やはり夏至の時期が麦の刈り入れ時とあって麦関連の食べ物が多いですね。
「夏至とは?いつ?食べ物やすることとは?」まとめ
夏至について色々と紹介しました。
知れば知るほどおもしろい暦の世界。
他にも色々と暦についての記事をご用意しているので興味があればぜひご覧下さいね!
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!
⇒太陰太陽暦とは?わかりやすく解説~日本の旧暦の歴史も紹介!
⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
暦について興味のある方の参考になれば幸いです。