前回の『夏至』に続いて今回は『冬至』について紹介します。
冬至で思いつくことと言えば
「一年で昼の時間が一番短い日」」
といったことでしょうか。
冬至とはいつのことをいうのか?
また冬至の日によく食べられるものなども紹介していきましょう。
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冬至とはいったい何?
冬至とは二十四節気の一つで、北半球では「一年のうちで一番昼の時間が短くなる日」になります。
言い変えれば「夜の時間が一番長くなる日」です。
南半球では逆に「昼の時間が一番長くなる日」となります。
<二十四節気の簡単解説>
古代中国で作られたもので、暦においての季節の節目をより分かりやすくするために1年を二十四等分したものです。
農作業を行う上でのタイミングの目安にもされました。
それが『二十四節気』になります。
ちなみに、このあとでさらに細かく分けた『七十二候』というものもあります。
冬至の一陽来復って?
「冬至」のことを『一陽来復(いちようらいふく)』と言ったりします。
また一陽来復には”冬が去って春が来ること、つまり新年が来ること”といった意味もあります。
これは古代中国の占いの書「易経(えききょう)」に出てくる言葉です。
昔の中国では陰暦の10月に「陰の気」が極まり、11月になると「陽の気」が復活し、『冬至』を境に長くなるとされていました。
冬至から太陽の力が再び勢いを取り戻して増してくるということですね。
このことから、『一陽来復』には「新年がやって来る」という意味以外にも
「悪いことが起こっていたけど、ここで流れが変わって良いことが起こり始める」
といった意味が込められているのです。
冬至の日は「幸運に向かうきっかけとなる日」とされたんですね。
二十四節気の二至二分
二十四節気の重要な節目に「二至二分(にしにぶん)」と呼ばれるものがあります。
「春分・夏至・秋分・冬至」の4つです。
夏至・冬至で二至、春分・秋分で二分となり、それぞれが各季節の中心とされています。
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冬至の七十二候
二十四節気の冬至の期間にあたる七十二候を紹介します。
■初候 乃東生 なつかれくさ しょうず
夏枯草が芽を出す頃
「夏枯草」は「靫草(うつぼぐさ)」の異名です。
12/21~12/25頃
■次候 麋角解 さわしかの つの おつる
大鹿の角が落ちる頃。
「麋」は大鹿のことです。
12/26~12/30頃
■末候 雪下出麦 ゆき くだりて むぎのびる
雪の下で麦が芽を出し始める頃
12/31~1/4頃
冬至はいつなの?決め方は?
「冬至がいつなのか?」については2つの考え方があります。
1つは「冬至の瞬間」です。
天文学では太陽黄経が270度になる瞬間を「冬至」といいます。
太陽が「冬至点」を通過する瞬間が「冬至」ということです。
そして、冬至になる瞬間が含まれた日を「冬至の日」としています。
毎年だいたい12月21日か22日頃になります。
よくわかりにくいと思うので、のちほど図解で解説しますね!
2つめは「期間としての冬至」です。
二十四節気で「冬至」の次が「小寒(小寒)」となります。
冬至の日から小寒の前日までの期間を「冬至」とする考え方です。
冬至の決め方について?
それでは1つめの「冬至点を通過する瞬間」について解説します。
こちらは「天球」をイメージした図になります。
天球とは地球から見えた空を大きな球体として考えた物です。
実際は太陽の周りを地球が公転していますが、天球上では地球が中心と考えて地球の周りを太陽が回っているようにみなします。
真ん中にあるのが地球になります。
そして黄色が太陽です。
まず黄色の線を見て下さい。
これが地球の周りを一年かけて回る太陽の通り道になる「黄道(こうどう)」といいます。
地球から見た時の太陽の動きを表わしています。
次に赤い線を見て下さい。
これは「天の赤道(てんのせきどう)」といいます。
地球の赤道を天球上まで拡大して延ばしていき、天球と重ねて大きな円にしたものです。
冬至点とは?
「黄道」と「天の赤道」が交わる場所が2つありますが、このうち黄経度0度の部分を「春分点」といいます。
そして黄経度90度にあたるところが「夏至点」、同様に180度の場所が「秋分点」になります。
この黄経度270度にあたる部分が「冬至点」となり、ここを太陽が通過した瞬間が「冬至」となるのです。
そして「冬至」の瞬間にあたる日を「冬至の日」とします。
これと同様に
・「春分点」を通過した時を「春分」、それが含まれる日が「春分の日」
・「夏至点」を通過した瞬間を「夏至」、それが含まれる日が「夏至の日」
・「秋分点」を通過した瞬間を「秋分」、それが含まれる日が「秋分の日」
となります。
冬至の食べ物やする事は?
各季節に旬の食べ物がありますが、それとは別に暦の節目に縁起を担いで食べたりするものがあります。
土用の丑の日に「う」のつくもので「うなぎ」を食べたり、端午の節句で菖蒲湯に入ったりしますよね?
冬至ではかぼちゃを食べたり、ゆず湯に入る習慣があります。
冬至にかぼちゃを食べるのはなぜ?
冬至にはかぼちゃを食べる習慣がありますが、そにれはいくつかの理由があります。
■色
古来、黄色が魔除けの色とされていました。
黄色いカボチャも魔除け効果として選ばれたのかもしれませんね。
■運盛り
冬至には「ん」がつくものを食べると「運」がつくといわれていました。
縁起担ぎですね。
「ん?カボチャには”ん”はつかないよ?」と思いそうですが、カボチャは「南京(なんきん)」とも呼ばれていたのでこれにあてはまります。w
ちなみに「ん」が2つ付くと「運」も倍増する!といわれており、「冬至の七種(ななくさ)」として食べられる物があります。
「ナンキン・ニンジン・レンコン・ギンナン・キンカン・ウンドン(“饂飩”うどんのこと)」の七種です。
なかなか全部食べるのは難しそうですね………。
■栄養価&保存が効く
冬至に食べられるカボチャですが実はカボチャの旬は夏です。
しかしカボチャは長期保存が効くことに加え、ビタミンAやカロチンなどの栄養価も豊富で、風邪や中風(脳血管疾患)予防にも効果的とされています。
しっかり栄養をつけて厳しい冬を乗り越えるのにもぴったりな食べ物なんですね。
カボチャ以外に食べられるものは?
■コンニャク
冬至にコンニャクを食べる地域もあるようです。
日本では昔からコンニャクを「砂おろし」と言って晦日や冬至、節分などに食べられていたようです。
コンニャクは「胃のほうき」や「腸の砂おろし」と呼ばれ、コンニャクを食べることによって体にたまった砂を出していたそうです。
コンニャクに含まれる成分「グルコマンナン」は水溶性食物繊維なので腸内の老廃物を掃除してくれる効果があったり、他にもコレステロール・糖質・脂質などの吸収を抑制する働きがあるらしいのですが、昔の人達はこういったことをどうやって知っていったんでしょうね?
昔の賢人の知恵は恐るべしですね。
■冬至粥
冬至の日の食べ物には他にも『冬至粥』があります。
小豆(あずき)と使った粥です。
小豆の「赤色」に邪気を祓う効果があるとされていることから、邪気を祓い運気をあげる意味が込められているんですね。
ゆず湯に入るのはなぜ?
冬至の日には柚子湯に入れば風邪をひかないと言われています。
柚子湯に入るのにもいくつかの説があります。
■語呂合せ
「ゆず=融通」から融通が利くように、また「冬至=湯治」というような語呂合せから「融通をきかせて世間を渡れるように」という願いがこめられているのです。
■邪気払い
「一陽来復」の運を呼び込む前に厄払いのための禊として身を清めるためにお風呂に入ります。
その際、香りの強い旬の柚子には邪気が起こらないとされていました。
またカボチャと同じく「黄色」の柚子が入ったお風呂に入ることでの邪気払いの意味もあったのでしょう。
端午の節句で菖蒲湯に似ていますね。
■効果
柚子湯には血行促進や冷え性緩和、風邪予防や美肌効果、リラックス効果などもあるといわれています。
これらも冬を元気に越えるのに大いに役立ったのでしょう。
「冬至とは?いつ?食べ物やすることなども紹介」まとめ
冬至についていろいろ紹介しました。
暦について色々知っていくと、昔の人々の頭の良さにはびっくりさせられます。
と同時に、その奥深い世界にも引き込まれていきます。
他にも色々と暦に関する記事があるので、もし興味がありましたらぜひご覧下さいね。
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⇒太陰太陽暦とは?わかりやすく解説~日本の旧暦の歴史も紹介!
⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?
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暦に興味のある方の参考になれば幸いです。