『卯月』とは4月を表わす月の異名です。
似ていますが「卵月」ではないです。
卵(たまご)は関係ありません。
『卯月』の「卯」って何でしょう?
ここでは『卯月』の意味や由来、また漢字の語源についてや旧暦での卯月が現在のいつ頃にあたるのか?
についても解説していきます。
そして卯月以外にもある4月の異名についても紹介していきましょう。
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卯月の意味と由来について
知ってる方が多いとは思いますが、卯月は「うづき」と読みます。
旧暦での四月を意味する異名ですが、現在でも今の4月のことを表わして使われたりします。
「睦月(むつき)」「如月(きさらぎ)」「弥生(やよい)」………。
と他にも旧暦の各月にそれぞれ名前があります。
こういった月の名前を『和風月名(わふうげつめい)』といいます。
今では単純に一月、二月、三月……と数字で順番に月の名前を呼んでいますよね?
しかし、旧暦を使っていた昔の人たちは各月の名前を月々の季節感などにあった言葉をあてはめて呼んでいました。
昔の人たちって情緒豊かですよね。
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卯月の意味と由来や語源について
『卯月』という言葉の由来にはいくつか説があります。
まずは一番有力な説からご紹介!
■卯の花説
旧暦の四月は「卯の花が咲く月」でした。
「卯の花」といえば今では「おから」のことを表わしたりしますが、その卯の花ではありません。
「卯の花」とは空木(うつぎ)の花の別名でもあります。
といっても空木が分からないですよね?
空木(ウツギ)というのはアジサイ科ウツギ属の落葉低木でこんな白い花が咲きます。
この白い小さな花を「卯の花」と言います。
ちなみに「空木」というのはこの木の幹や枝の中が中空(空っぽ)になってるものが多いので”空木”と呼ばれています。
この「卯の花」の咲くのが旧暦の四月頃だったんです。
「卯の花が咲く月」が省略されて「卯月」となったとする説です。
■「植える」からきた説
旧暦での四月は稲穂を作るために苗を植えたりする時期でした。
そこから「植月(うつき・うゑつき)」「種月(うづき)」「田植苗月(たうえなへづき)」「苗植月(なへうゑづき)」などと呼ばれました。
それから年月を経て『うづき』となったとする説です。
この説に関しての欠点
この由来は旧暦の五月を表わす『皐月(さつき)』の由来に関する有力な説とほとんど同じ意味になってるのです。
皐月に関する説の方が有力なために、卯月にも同じ様な意味をもたせるとは考えにくいです。
なのであまり有力な説ではないとされてます。
■「始まりの月」から説
卯月は農作が新しく始まる月にあてはまりました。
「物事の始まり」や「新しく誕生する」ことを意味する「初(う)」や「産(う)」という文字の『う』という音が転じて『卯月(うづき)』となったとする説。
■卯=茂説
中国の歴史書『史記』律書には「卯」という漢字には「茂(ぼう)=しげる」
また『漢書』律暦志によると「冒(ぼう)=覆う」の意味があり、”草木が地面を覆うようになった状態”を表わしているとされています。。
実際。旧暦の四月は今とズレがあるので桜の時期が過ぎ、若葉が生い茂る時期にあてはまります。
草木が生い茂る月ということから「卯月」となったとする説です。
■十二支説
十二支の四番目は『卯(うさぎ)』です。
子・丑・寅・卯・……と確かに四番目は『卯』ですよね。
そこから『卯月』となったとする説です。
しかしこちらの説もあまり有力ではありません。
というのも、その他の月の名前にはひとつも十二支の名前のついた月はありません。
細かく言うと実は十二支の名前がついてる月の異名はあります。
古代の中国では北斗七星の柄の先が真下の北の方角を指すようになる月(11月)を十二支の最初にあたる子(ねずみ)をあてはめ「建子月」としていました。
そこから順に12月が「建丑月」、1月が「建寅月」というように呼ばれていたのです
この場合「子・丑・寅・卯・……」なので11月から順番に数えると2月が「建卯月」になり、4月は「建巳月」となりますよね。
こういったことから、十二支説も少し微妙ですね。
旧暦の卯月は今でいうといつ頃?
旧暦の四月をあらわす『卯月』ですが、現在の四月とは時期が違います。
およそ、1ヶ月~2ヶ月ほどのズレがありました。
というのも、昔は使われていた暦(こよみ)が今とは違うからです。
分かりやすく言うとカレンダーが今とは違うといったところでしょうか。
昔の暦が現在の「新暦」に変わったのは約150年前の1873年(明治6年)のことです。
それまでは、昔の暦が使われていたのです。
つまり、それまでの人は月の名前を表わすのに数字ではなく季節感のある言葉で表現していたんです。
150年前だと、そこまで昔ではないですよね!?
旧暦の卯月は今ではいつ頃?
ちなみに昔の暦のことを旧暦(太陰太陽暦)、今の暦のことを新暦(太陽暦)といいます。
新暦は現在みんなが使っているカレンダー通りの暦です。
1年が365日で4年に一度閏年(うるうどし)がありますよね。
旧暦で使われていた「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」という暦では月の満ち欠けをもって1ヶ月となるので1年は354日しかありませんでした。
今の太陽暦よりも11日も短いんです!。
その短い分は32~33ヶ月に一度「うるう月」が入れられ13ヶ月にして調整されていました。
・新暦=太陽暦(太陽の運行にそった暦法)
・旧暦=太陰太陽暦(月の満ち欠けと太陽の運行を基準に組合せた暦法)
旧暦(太陰太陽暦)での『卯月』を今の新暦(太陽暦)に変換してみると………。
■四月下旬~六月上旬頃
にあたります。
このように、今の四月とはだいたい1ヶ月~2ヶ月ほどのズレがあります。
「春」というよりは、もう「初夏」ですよね!
■閏月の入れ方や仕組みに関して詳しくはこちらから
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!
■旧暦と新暦の違いやズレについて詳しくはこちらから
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
四月に関連する記事
それでは少し一休み!
ということで4月に関連する記事を紹介します。
もし興味のあるものがあればぜひご覧下さい。
⇒大美和の杜展望台の桜見所|恋人の聖地でお花見デート|アクセスも紹介
⇒4月1日のエイプリルフールとは?由来についても解説、嘘は午前中だけ?
4月の異名はたくさんある!?
■卯花月(うのはなづき)
卯月の由来ともなった「卯の花」が咲く季節から『卯花月』という名前もあります。
■建巳月(けんしづき)
建巳月の意味は上にある由来に関するところの「十二支説」の欄で解説しています。
■木葉採月(このはとりづき)
蚕(カイコ)を飼ってその繭(まゆ)から生糸を作る「養蚕」ってありますよね。
その養蚕をするのに必要な「桑の葉」を摘み取る月にあてはまることから『木葉採月』とも呼ばれていました。
■首夏(しゅか)
「首」という漢字には「いちばんはじめ」と言った意味もあります。
旧暦では1月~3月は「春」4~6月が「夏」になります。
旧暦の卯月は夏のはじまりにあてはまるためにそのように呼ばれていたんですね。
■初夏(しょか・はつなつ)
こちらも読んで字のごとく、卯月が「夏の初め」だったことによります。
■鳥待月(とりまちづき)
初夏になり暖かくなるのを待って渡り鳥はやってきます。
その様子を表わしているんですね。
■夏初月(なつはづき)
「夏」という文字を使ったものはまだまだあります。
こちらも「夏の初め」ということからきていますね。
■麦秋(ばくしゅう)
今度は「秋」が出てきましたね!(笑)
米とは違い、麦の穂が実って収穫を迎えるのは初夏のころ、つまり旧暦の四月後半頃になります。
麦にとってはまさに「収穫の秋」のようなものなので、このように名付けられました。
■花残月(はなのこしづき・はなのこりづき)
室町時代の歌集『蔵玉集』には
「暮れはてて 春のなごりや 山深み しげみ隠れの 花残月」
と呼んだ歌があります。
現在の4月とは違って旧暦4月は初夏にあたるので「桜」ももう咲いてはいません。
散っているはずですよね。
しかし、北日本の方ではまだ残った桜の花を楽しむことができたので、そこからこの名前がつけられたそうです。
■乏月(ぼうげつ)
「乏」は”物が足りない”や”まずしい”と言った意味になります。
ってことは「まずしい月?」
これは昨年に収穫した米がもうなくなってしまい、今年分の収穫の時期はまだ来ないために穀物不足で貧しくなってくる月ということから名付けられたのです。
■孟夏(もうか)
「孟」という漢字には「はじめ」と言った意味があります。
特に四季においての各三ヶ月の最初の月のことをさします。
4月~6月という夏の期間で見てみると
四月が「孟夏」・五月が「仲夏」・六月が「季夏」
というように、順番としては「孟・仲・季」の順番で「初旬・中旬・下旬」のように表わされます。
■その他の四月『卯月』の異名
卯月にはまだまだたくさんの異名があります。
名前と読み方だけでも紹介しておきましょう。
■四月(卯月)の月の異名 | |
・維夏(いか)
・畏月(いげつ) ・畏日(いじつ) ・陰月(いんげつ) ・四月(うづき) ・余(うづき) ・得鳥羽月(えとりはづき・えとりはのつき・とことばのつき) ・槐夏(かいか) ・夏半(かはん) ・乾月(けんげつ) ・乾梅(けんばい) ・献梅(けんばい) ・庚伏(こうふく) ・圉余(ごよ) ・始夏(しか) ・巳月(しげつ) ・修景(しゅけい・しゅうけい) ・首夏(しゅか) ・朱夏(しゅか) ・朱明(しゅめい) ・純乾(じゅんけん) ・純陽(じゅんよう) ・小満(しょうまん) ・新夏(しんか) ・清玉(せいぎょく) ・正月(せいげつ)※正陽の月のこと ・清至(せいし) |
・正陽(せいよう)
・正陽月(せいようづき・せいようのつき) ・清和(せいわ) ・清和月(せいわづき) ・跡踵(せきしょう) ・早夏(そうか) ・送春(そうしゅん) ・仲呂、中呂(ちゅうりょ・ちゅうろ) ・肇夏(ちょうか) ・朝陽(ちょうよう) ・鎮月(ちんげつ) ・鳥来月(とりくづき) ・梅雨(ばいう) ・梅溽(ばいじょく) ・麦月(ばくげつ) ・麦風(ばくふう) ・花卯月(はなうづき) ・伏暑(ふくしょ) ・祭り月 ※京都の「葵祭」が陰暦四月なので ・巳の月(みのつき) ・余(よ) ・余月(よげつ) ・蘭地(らんち) ・六気(りくき) ・六陽(りくよう) ・立夏(りっか) ・和清(わせい) |
「卯月の意味と由来って?旧暦ではいつ頃?4月その他の異名も紹介」のまとめ
『卯月』についての意味や由来を紹介しました。
睦月、如月、弥生、と続く和風月名ですが、けっこう覚えるのが大変です。
そこで和風月名の覚え方を簡単な語呂合せで短歌にしてみました。
こちらの記事で紹介しているのでよかったらぜひご覧下さい!
和風月名の意味や由来について調べておられる方の参考になれば幸いです。
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⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?