1月を表す月の異名「睦月(むつき)」
睦月という名前にはどんな意味や由来が?
また今の暦ではいつ頃のことをいうのか?
ご紹介していきます。
また1月には「睦月」以外にもたくさんの異名があるのでそちらもあわせて解説していきます。
Table of Contents
睦月の意味や由来は?
睦月の意味について
睦月とは「むつき」と読み、「1月」のことを表します。
ただし、もともとは今の1月ではなく旧暦の1月のことをいいました。
「睦月」という漢字に使われている漢字『睦』
「親睦(しんぼく)」の「睦(ぼく)」ですね。
「睦」には「親しくて仲が良い」「むつまじい」「親しくする」「むつぶ」
といった意味があります。
睦月の由来について
「睦月」という言葉について、まずはなぜ1月にこの「睦」が使われたのか?
由来についてははっきり分かっておりません。
いくつかの説があるのですが、ここでは3つ説をご紹介します。
■睦月の由来 正月説
睦月(1月)といえば正月です。
今では少し減ったかもしれませんが、昔はお正月になれば家族や親戚がみんな集まって仲良く過ごすことが一般的でした。
「お正月に家族や新関が集まって、睦み合う(むつみあう)」
「睦み合う(むつみあう)」というのは仲睦まじい(むつまじい)様子を表す言葉です。
ここから、「睦び月(むつびつき)」となって、それがなまっていき『睦月』となったとされています。
個人的にはこの説が一番有力に感じます。
■睦月の由来 農作説
農作の際に稲の実をはじめて水に浸す月から
「実月(むつき)」となり、
それが転じて『睦月』となったとする説。
■睦月の由来 一年の始まりの月説
1月は1年の「元」になる月です。
「もとつき」が「むつき」に転じたとする説です。
まあまあ強引な気はします……。ww
睦月は今の暦でいうといつ?
現在、1月と言えば真冬ですよね?
初旬から下旬までずっと寒くて「冬まっさかり」といった感じです。
北海道、東北や北陸地方なんかは雪が積もってる地域もたくさんあると思います。
ですが旧暦の1月(睦月)は現在の1月とは1~2ヶ月ほどのズレがあり、今ほど寒い時期ではありませんでした。
というのも、今と昔では使われている暦(こよみ)が違うからです。
現在は『グレゴリオ暦』といわれる太陽暦が採用されていますが、約150年前の1873年(明治6年)までは旧暦である『太陽太陰暦(たいいんたいようれき)』が使われていたのです。
旧暦の睦月はいつ頃?
太陰太陽暦は月の満ち欠けと太陽の運行を基準とし組み合わせた暦です。
ただ、1年が354日と太陽暦よりも短くなるために翌年や翌々年になると季節にズレが生じていきました。
そこで約3年に一度『閏月(うるうづき)』が入れられて季節の調整がされていたのです。
その旧暦を今の新暦に換算すると……。
睦月は今の1月下旬から3月上旬頃にあたります。
だいたい1ヶ月~2ヶ月くらいのズレが新暦と旧暦にはあるのです。
つまり、昔の睦月(1月)は今の「1月」よりも少し暖かかったようですね。
“すぐ先に春が待っている”といった感じだったんではないでしょうか。
ちなみに、今では旧暦と新暦を統一して新暦の1月(現在の1月)のことを「睦月」として使ったりすることも珍しくありません。
■閏月の入れ方や仕組みに関して詳しくはこちらから
⇒旧暦の閏月の意味や決め方!二十四節気との関係をわかりやすく解説!
■旧暦と新暦の違いやズレについて詳しくはこちらから
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
睦月には異名がたくさん!?
1月のことを「睦月」と呼びますが、なんとそれ以外にも異名はたくさんあります。
昔は地域によって月の名前が違いました。
各地域でいろんな呼ばれ方をしていたんです。
たとえば「新春」
有名なこの言葉も旧暦の1月を表す言葉です。
旧暦の1月は春なので新しい春を迎えるという意味で使われていました。
他にもたくさんの異名があるので紹介します。
■初春月(はつはるつき)
春の初めの月という意味から使われていました。
旧暦では「1月・2月・3月」が春として考えられていたんです。
■初月(しょげつ)
これは分かりやすい。
1年の最初になる月なので初月なんですね。
■霞初月(かすみそめづき)
1513年、室町時代の随筆に
「霞初月-げにもはや 山風さむみ ふる雪の
その名ばかりや かすみそめ月」
というのがあります。
「霞がかかり始める月」からでしょうか?
やはり季節感をとりいれた素敵な異名ですね。
■霞染月(かすみそめづき)
こちらはおそらく「霞初月」が転じてなったのでしょう。
もしくはこちらが先だったのかもしれません。
■暮新月(くれしづき)
年が明け、暮らしが新しく始まる月ということから。
■太郎月(たろうづき)
おもしろいところでいうとこの「太郎月」
男の子の名前がついています。
「太郎」といえば昔は男の子の代表的な名前でした。
実は「太郎」には”物事の一番最初”という意味があったのです。
そこから”1年の最初の月”ということで「太郎月」と呼ばれていました。
■早緑月(さみどりづき)
昔の暦では今でいう3月上旬の頃までが睦月でした。
木々に緑が芽吹き始める時期ということから早緑月とも呼ばれていたのです。
他にもまだまだたくさんの異名があります。
■甫月(ほづき)
「甫」という文字には「はじめ」や「はじめて」などの意味があります。
また「苗を育てる畑」という意味もあるんです。
■初空月(はつそらづき)
年が明けて初めての空に月が出るから…。
これをつけた方は相当ロマンチックですね~。
■建寅月(けんいんげつ)
「建」という文字は北斗七星の柄を意味しています。
そのあとに続く「寅」というのは十二支の「とら」を表しています。
古代の中国では北斗七星の柄の先が真下の北の方角を指すようになる月(11月)を十二支の最初にあたる子(ねずみ)から「建子月」としていました。
そこから順に12月が「建丑月」、そして1月が「建寅月」となったのです。
「寅月」は春の始まりを表す意味もあります。
名前だけ紹介しておきますね。
■その他の睦月の異名
■その他の睦月の異名 | |
・王春(おうしゅん)
・開歳(かいさい) ・開春(かいしゅん) ・解凍(かいとう) ・嘉月(かげつ) ・華歳(かさい) ・規春(きしゅん) ・月正(げっせい) ・元月(げんげつ) ・献歳(けんさい) ・献春(けんしゅん) ・歳始(さいし) ・歳首(さいしゅ) ・三微月(さんびづき) ・主月歳(しゅげつさい) ・首歳(しゅさい) ・上春(じょうしゅん) ・初歳(しょさい) ・初陽(しょよう) |
・始和(しわ)
・青陽(せいよう) ・泰月(たいげつ) ・大簇(たいそう) ・端月(たんげつ) ・年端月(としはづき) ・肇歳(ちょうさい) ・子日月(ねのひづき) ・年初(ねんしょ) ・発歳(はつさい) ・初見月(はつみつき) ・方歳(ほうさい) ・芳歳(ほうさい) ・昵月(むつき) ・陬月(むつき) ・孟春(もうしゅん) ・孟陬(もうすう) ・孟陽(もうよう) ・履端(りたん) |
どうです?睦月の他にも1月にはこんなにたくさんの呼び方があるんです!
なんとなくイメージがつくものもあれば「大簇」や「孟陬」のように「ん?」「は?」となるものまでありますね。
ちなみに「大簇」の「簇」とは簇がる(むらがる)という意味があるので、お正月になって一つの家に「大きく簇がる」からきているのかも?
などと考えてみました。
また「孟」には”初め”、「陬」には隅という意味があります。
全ての月の名前に、それぞれ「1年の始まり月」の季節を表す文字が使われているんです。
こういったたくさんの異名が使われなくなってしまったのは残念ですが、確かに全国統一して誰もが分かる呼び名がないと不便なのも確かなんですよね。
各地域内でもこういった呼び名が使われればいいのに……と思うところです。
1月(睦月)の行事などについての由来由来
1月に関連する行事や風習などについての記事を集めてみました。
興味のあるもがあればどうぞご覧下さい!
<おせち料理>
<鏡餅>
⇒お正月の鏡開きのやり方、お餅の食べ方レシピ、真空パックでは?
<お雑煮>
⇒餅を正月に食べる理由は?雑煮に入れたり、お供えするのはなぜ?
⇒お雑煮の具材にある意味は?関西と関東での違いについてご紹介
<正月飾り>
⇒正月に飾る門松の意味は?いつまで飾るのか?いくつかの種類について
⇒正月の飾り物はいつからいつまで?処分の仕方やそれぞれの意味も紹介
<文化・風習>
⇒お正月の書き初めの由来は?いつ書くの?オススメの言葉もご紹介
⇒お正月の子供の遊び、家の中では?福笑いやカルタをやってみよう
<年賀状>
⇒年賀状のマナー、宛名や連名はどう書く?横書きや手書きでは?
⇒年賀状の裏面を書く時のマナー、手書きで書くには?挨拶文の書き方も
「睦月の意味と由来は?今の暦ではいつ頃?異名も紹介」のまとめ
睦月についての意味や由来など、またたくさんの異名などについてご紹介しました。
睦月、如月、弥生、……と続いていく月の異名。
その覚え方に関してはどうぞこちらの記事を参考にしてみて下さい!
僕なりに覚えやすい語呂合せを短歌のようにしてみました!
関連記事
⇒旧暦と新暦の意味とは?違いやズレはなぜ?どうして暦は変わったの?
⇒太陰暦の意味をわかりやすく解説!一年の決め方や純粋太陰暦って?
月の異名をお調べの方の参考になれば幸いです。